女優・浪花千栄子の誕生…帝国キネマ移籍1カ月で専属解消

NHK連続小説『おちょやん』で杉咲花さん演じる主人公、浪花千栄子はどんな人物だったのか。幼いうちから奉公に出され、辛酸をなめながらも、絶望することなく忍耐の生活を送る。やがて彼女は銀幕のヒロインとなり、演劇界でも舞台のスポットライトを浴びる存在となる。この連載を読めば朝ドラ『おちょやん』が10倍楽しくなること間違いなし。本連載は青山誠著『浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優』(角川文庫)から一部抜粋し、再編集したものです。

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キクノ「浪花千栄子、ええ名前やなぁ」

女優・浪花千栄子の誕生

 

キクノは市川百々之助の誘いをうけて、彼と一緒に大阪の帝国キネマに移籍する。

 

京都の下宿を引き払い、帝国キネマの本拠である大阪に移り住んだ。

 

この時、芸名を「香住千栄子」から「浪花千栄子」に改めている。

 

キクノは京都の下宿を引き払い、帝国キネマの本拠である大阪に移り住んだという。(※写真はイメージです/PIXTA)
キクノは京都の下宿を引き払い、帝国キネマの本拠である大阪に移り住んだという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

彼女は「香住」という芸名が「かすむ= 霞む」という、はかないイメージがあることから好きになれなかった。それを知っていた市川百々之助が、

 

「これからは大阪の女優さんになるのやから」

 

そう言って、この芸名への改名を提案してきたという。

 

大阪の旧国名は「浪速」「難波」「浪花」などと表記する。なかでも「浪花」は大阪人が好んでよく使う。

 

また、「花」という文字には、女性らしさや華やかさが香る感じもあり、彼女はそれが気に入った。

 

「浪花千栄子、ええ名前やなぁ」

 

文字に書き、言葉にしてみる。自分のキャラクターにも合っている感じで、しっくりとなじむ。この名とは生涯のつきあいになった。

 

ラジオや映画で浪花千栄子の名を頻繁に目にするようになった頃には、それが本名だと錯覚する者も少なくなかった。それほどこの名は彼女になじんでいる。

 

それだけにオロナイン軟膏のCMで、

 

「私の本当の名前はなぁ、南口キクノといいますねん」

 

と、彼女が言った時には、むしろ、それに違和感を覚えた人が多かったのかもしれない。

 

蔑まれ惨めに耐え忍んでいた頃の小娘の名前は、「大阪の母」「変幻自在の怪女優」として存在感を放つ大女優には似合わない。

 

本連載でもこの先は「キクノ」ではなく、浪花千栄子と呼び方を改めることにする。

 

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作家

大阪芸術大学卒業。著書に『古関裕而 日本人を励まし続けた応援歌作曲の神様』『安藤百福とその妻仁子 インスタントラーメンを生んだ夫妻の物語』(ともにKADOKAWA)、『江戸三〇〇藩 城下町をゆく』(双葉新書)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)などがある。

著者紹介

連載昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優一代記

浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優

浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優

青山 誠

角川文庫

幼いうちから奉公に出され、辛酸をなめながらも、けして絶望することなく忍耐の生活をおくった少女“南口キクノ”。やがて彼女は銀幕のヒロインとなり、演劇界でも舞台のスポットライトを一身に浴びる存在となる。松竹新喜劇の…

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