「ああ、疲れた」最期の言葉に女優・浪花千栄子の壮絶な人生が

NHK連続小説『おちょやん』で杉咲花さん演じる主人公、浪花千栄子はどんな人物だったのか。女優復帰を果たした千栄子は映画や舞台への出演依頼も相次ぐようになる。小津安二郎監督の『彼岸花』、黒澤明監督の『蜘蛛の巣城』、内田吐夢監督の『宮本武蔵』等々、日本を代表する巨匠たちの作品に出演者として名を連ね、映画に欠かせない存在となっていく。この連載を読めば朝ドラ『おちょやん』が10倍楽しくなること間違いなし。本連載は青山誠著『浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優』(角川文庫)から一部抜粋し、再編集したものです。

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近隣に蕎麦屋や茶屋などの商売も始めた

突然にやってきた終焉

 

『細うで繁盛期』では主人公の孫娘・加代に、商人の心得を説いた千栄子だが、この頃は実生活でもまた、後進の教育に熱心に取り組んでいた。

 

実子のいない彼女は、実弟の娘・輝美を養女に迎えている。彼女を次期女将に育てあげて「竹生」を継がせようとした。

 

この頃になると近隣に蕎麦屋や茶屋などを開店して、商売のほうも手を広げている。

 

冷酷な主人や底意地の悪い先輩たち、人間関係に恵まれなかった奉公先で、猫は唯一の味方でもあったという。(※写真はイメージです/PIXTA)
冷酷な主人や底意地の悪い先輩たち、人間関係に恵まれなかった奉公先で、猫は唯一の味方でもあったという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

仕出し料理店の「おちょやん」にはじまり、女優になってからも道頓堀の芝居茶屋の女中を兼業した。この仕事が好きで性にもあっていたようである。

 

生き生きと動きまわり、てきぱきと仕事をこなす働き者。彼女の仕事ぶりを知る人は、皆が口をそろえてこのように言う。

 

女優の仕事と同じくらいに、やり甲斐を感じていたのだろう。もしも、千栄子が女優になっていなければ、小料理屋の女将などで生涯を終えたのかもしれない。

 

60歳を過ぎてからは女優の仕事を抑え気味にして、自宅で過ごすことが多くなった。「竹生」のほうは養女の輝美が仕事を覚えて、千栄子の負担は少なくなっている。

 

それなら、もう少しのんびりして、庭でも眺めながら過ごしていればいいのだが……。子どもの頃から休みなく働き続けた人生だけに、何かをしていないと落ち着かない。この性分は一生変わらないだろう。

 

それでも、この家は千栄子にとって一番心安らぐ場所だったことは間違いない。

 

ひと仕事終えて居間に戻ってくると、すぐに猫が膝の上に乗って甘えてくる。自分にも他人にも厳しい彼女だが、猫にだけは甘い。自宅を建てた理由のひとつには、猫を飼いたかったということもある。これだけは譲れない。

 

猫には命を救われた。仕出し料理店で奉公していた少女の頃、主人から理不尽な𠮟責をうけて自殺しようと思ったことがある。

 

首を吊って死んでやろうと、便所に入り鴨居に帯を掛けた。ここで自分が死ねば主人も困るだろう。と、あてつけの気持ちもあった。

 

彼女の気性の激しさと常軌を逸した負けず嫌いは、時として我が身に危険が及ぶ暴走をしてしまう。この後も幾度か自殺をしようとして、寸前のところで思い留まっている。

 

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作家

大阪芸術大学卒業。著書に『古関裕而 日本人を励まし続けた応援歌作曲の神様』『安藤百福とその妻仁子 インスタントラーメンを生んだ夫妻の物語』(ともにKADOKAWA)、『江戸三〇〇藩 城下町をゆく』(双葉新書)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)などがある。

著者紹介

連載昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優一代記

浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優

浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優

青山 誠

角川文庫

幼いうちから奉公に出され、辛酸をなめながらも、けして絶望することなく忍耐の生活をおくった少女“南口キクノ”。やがて彼女は銀幕のヒロインとなり、演劇界でも舞台のスポットライトを一身に浴びる存在となる。松竹新喜劇の…

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