小学生までは「コンタクトレンズ」を勧められない理由
一般的には裸眼視力が低い子どもに対して、小学生まではメガネで矯正することを適応とし、コンタクトレンズの使用は勧められていません。なぜかというと、子ども自身でコンタクトレンズの管理ができないからです。
コンタクトレンズは種類によっては洗浄をしたり、使い捨てであっても自分で目に装着したり外したりしなければなりませんから、小学生までは正しく使うことが難しいと判断されています。
しかし、中学生になれば目の成長も完成していることもあり、自分で管理できるとしてコンタクトレンズも適応となります。これによって部活でスポーツをしている男子やおしゃれを気にする女子では、コンタクトレンズを希望するケースが増えています。
ただ、メガネと違って直接目に装着するコンタクトレンズは、正しく使用しなければトラブルのもととなります。実際に、長時間の装着、洗浄不足、使用期限の超過などが原因で、目の充血や異物感、痛みなどの症状を訴える中高生が増えています。自分で管理できるはずなのに、きちんとルールを守れていないのが現状です。
まず、洗浄が不十分であると、レンズに付着した細かいゴミなどが取り除かれていないため、目を傷つけてしまいます。小さなキズであれば、本来は自己治癒力によって数日のうちに修復されます。
しかし、コンタクトレンズを使用し続けていると、キズはいつまでも治らずに慢性化し、炎症を起こしやすくなります。レンズに花粉が付着し、まぶたに触れ続けていればアレルギー性結膜炎を起こすこともあります。
これらは使用する側の問題ですが、コンタクトレンズ自体に問題があることも少なくありません。例えば、家にいながら手軽に購入できる通販はとても便利ですが、眼科を受診せずに自己判断でコンタクトレンズを通販で購入すると、なかには材質に問題がある粗悪な製品を手にすることがあるからです。
特に海外製品の場合は、温度管理がされていない船便で届くケースが見受けられます。コンタクトレンズは薄いものですから、温度が高くなると日本に届くまでの間にはレンズが伸びて変形してしまいます。これがカラーコンタクトレンズになると、色素が溶け出してしまうこともあるのです。こうした製品を知らずに目に装着すれば当然、炎症が起こって角膜障害や結膜炎などの原因になります。
筆者のもとにも、カラーコンタクトレンズが原因で角膜炎を起こした中高生が何人か受診しに来ています。ひどい患者さんでは治るまでに半年以上もかかり、その間はコンタクトレンズを使用できなくなりました。
国内で販売されるコンタクトレンズは、日本の法律によって厳しく品質や有効性、安全性が確認されています。けれどもインターネットで個人的に輸入したり、販売されている製品では、日本が定めた基準に則っていないものがあり、安全性の保証もありません。
コンタクトレンズは、視力(度数)や角膜のカーブの具合、目の病気の有無、涙の量などの個人差を考慮して選ぶ必要があります。これらは眼科でなければ、きちんと調べることはできません。自分の角膜のカーブにピッタリと合ったコンタクトレンズを選ばなければ、十分に視力が出ませんし、角膜にキズがつくなど目の障害を引き起こす原因にもなります。
ですからコンタクトレンズを初めて使用するときや、度数が合わなくなって新たに購入するときには、必ず眼科を受診して処方箋を出してもらうことが重要です。その際、医師からレンズの正しい使い方を指導してもらい、それをきちんと実践することが、本人の目を守ることにつながります。
そして、コンタクトレンズを装着していても見えづらくなったときは、自覚症状はなくても角膜が傷ついていないかを確認する意味でも、眼科を受診する習慣をつけるとよいでしょう。
星合繁
ほしあい眼科院長
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