FOMC後の会見で問われたこと

今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金融政策の変更の有無よりも、声明文のトーンや米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の会見内容が注目されました。これらを通して示されたのは、短期的には回復ペースは鈍化するも、中期的にはワクチン接種拡大による景気回復への期待です。ただ、資産価格の動向については慎重な受け答えに終始しました。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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FOMC:金融政策は市場予想通り据え置き、声明文に若干の変更点

米連邦準備制度理事会(FRB)は2021年1月26日~27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催しました。FOMCでは政策金利、資産購入ペースについては市場予想通り据え置きが決定されました。

 

声明文では経済活動及び雇用の回復ペースを前回の回復から、この数ヵ月穏やかになった、と変更しました(図表1参照)。また、景気動向については今回の声明文でワクチン接種の進捗を盛り込み、また、12月の声明文の経済活動のリスクとして使用した「中期的」との表現を、今回の声明文から削除することで、中期的な回復期待をにじませました。

 

時点:2020年12月(前回、左)、2021年1月(今回、右)、声明文は抜粋 出所:FRB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]FOMC声明文の主な違いの比較 時点:2020年12月(前回、左)、2021年1月(今回、右)、声明文は抜粋
出所:FRB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:FOMC、ワクチン接種、景気回復ペース

今回のFOMCでは金融政策の変更の有無よりも、声明文のトーンやFRBのパウエル議長の会見内容が注目されました。これらを通して示されたのは、短期的には回復ペースは鈍化するも、中期的にはワクチン接種拡大による景気回復への期待です。ただ、資産価格の動向については慎重な受け答えに終始しました。

 

まず、短期的な経済活動や雇用の動向ついては、声明文で前回の回復は「続いている」が「緩やかになった」に置きかえられており、当面のペースの鈍化を指摘しています。特に懸念しているのは会見でもパウエル議長が具体的なセクターを口にしていた娯楽部門で、20年12月の雇用統計にも明確に示されています(図表2参照)。

 

月次、期間:2020年11月(左)、2020年12月(右)、前月比、太字は12月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国の非農業部門雇用者数と主なセクターの変化 月次、期間:2020年11月(左)、2020年12月(右)、前月比、太字は12月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

一方で中期的な動向については、今回の声明文にワクチン接種の進捗を盛り込み、接種拡大ペースなどに左右される可能性はあるものの、景気下支え要因としての期待をにじませました。

 

このような景気見通しから想定される金融政策は、中期的な回復を確認するまで、当面金融緩和でサポートする必要があるということと見られ、資産購入(QE)の出口戦略は時期尚早との考えを会見でも強調しています。

 

なお、インフレ率について2%を一時的に超えても政策金利を維持する考えを述べています。FRBが注視するインフレ指標(コア個人支出価格指数)は昨年4月には前年比で1.0%を下回っており、同指数は今年4月頃上昇が見込まれます。この場合の上昇は一時的と判断する可能性が示唆されました。

 

このように中期的な景気回復期待と、短期的といっても当面は続く公算が高い金融緩和政策の組み合わせから、資産価格の行き過ぎの可能性が浮かび上がります。会見でも記者からこの点に関する質問が多く聞かれました。パウエル議長は最近の資産価格の上昇について、金融政策が一定の役割を果たしているものの、主な要因は新型コロナワクチンの効果と追加財政刺激策への期待であって、金融政策との関係は明確でないと述べるなど、今回は対応への言及をほぼ回避しました。パウエル議長はテキストブックの後ろに正解が用意されていない難問に取り組む必要があるわけで、今後の市場動向などに応じて解答を作成する作業が求められそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FOMC後の会見で問われたこと』を参照)。

 

(2021年1月28日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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