父を懸命に介護した次男。一方、長男は…
■財産が少ないほどもめる
たとえ「争続」に発展しても、法律を手がかりに相続人同士で話し合いを進めれば、問題は解決する方向に向かうと思われてはいないでしょうか?
実際にはそれほど簡単なものではありません。ときには、お互いの気持ちを斟酌しない限り、法律では解決できない泥沼に突入してしまうケースもあります。家族間の感情のもつれが相続争いに発展させるのです。このことを象徴する事例を紹介しましょう。
次男のCさんは両親と同居し、家と仏壇を守っていました。一方、Cさんの兄である長男は立派な会社に勤めており、ほとんど実家に帰ってくることはありません。そうしたなかで寝たきりの父親が亡くなった矢先、ついにCさんの不満が爆発してしまったのです。
Cさんは長く実家で暮らし、両親の面倒を看てきました。Cさんの妻も文句を言いつつも、父親に献身的な介護を続けてくれました。さらに実家暮らしのため、仏壇や先祖供養も精一杯行ってきたつもりです。
ところが―。実家にほとんど帰ってこなかった長男が、ここぞとばかりに喪主を引き受けてしまったのです。
両親と長く暮らしてきたCさんは、自分が喪主を務めたいと考えていました。しかし都合のいい場面だけ長男が前面に出て、自尊心が傷ついてしまったのです。しかも長男は、無神経にも「これからも仏壇を守ってくれ」と突きつけてきました。Cさんは、その一方的な態度に強い不満を抱いたのです。
さらに納得できない出来事が続きました。長く両親の面倒を看てきたCさんの事情を斟酌せず、長男が相続財産の均等相続を主張してきたのです。これでついに、Cさんの不満が爆発しました。
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