国民の約10人に1人は分譲マンションで生活している今、マンションに住む人たちは大きな危機に瀕している。老朽化と大規模修繕、管理組合との付き合い、住民の転居と高齢化……。マンション購入時には明かされない課題を解説。 ※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンライン掲載の書籍『分譲マンション危機』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

自身のマンションが荒廃していく様を想像できますか

財産価値の客観的価値が低下しますので、転売は無理となり、ますます空き住戸が増加することになります。空き住戸といっても、所有者は存在しますので、管理費の支払い義務はあり、これも滞納に繫がることになります。

 

たとえ、孤独死された住戸でも、相続権者がおられれば相続人が、また相続放棄されても誰かに相続されることになります。仮に相続権者がおられず、国庫納付となっても、行政が競売に付し、落札した人が所有者となり、管理費や修繕積立金の納入義務が発生すると思われます。

 

ただ、先程の報道されていた荒廃マンションは、管理費も修繕積立金の徴収もないマンションとのことでした。つまり、区分所有建物が存在する限り、管理組合は解散できないのです。

 

想像してみてください、あなたのマンションが、街中で薄汚く生気もなく佇んでいる姿を。もはやこの状態は、当該マンションだけの問題だけでは済まされないのです。空き住戸への不法侵入者、街の景観障害などで近隣や行政にも迷惑をかけている状況になるのです。解体してこれらの迷惑を解消できれば良いのですが、自ら解体する力もなく、かといって、適正な建物管理や管理組合運営もできない状況に陥っているのです。

 

このような状況に至っても、行政は相談には乗ってくれますが、金銭的な手助けや支援はしてくれません。あくまで戸数の数だけ区分所有者がおられ、その方々が、それぞれ専有部分の所有権を持ち、共用部分は区分所有者全員の共有所有権となっている、民間の財産物であり、行政機関は不介入の原則があり、介入できません。

 

テレビ報道などで、朽ち果てた家屋を行政が解体する場面がありますが、この事案では、このままの状態では、倒壊して通行人など第三者に危害が及ぶ恐れや、鉄骨造の場合は、耐火被覆材のアスベストが飛散して懸念される健康被害の防止のために、所有者が解体しないので、行政が代執行しているにすぎないのです。

 

解体費は、その建物の所有者に請求されます。むしろ行政による解体代執行より区分所有者による解体の方が、安価に解体できると思っています。逃げ得はできません。

 

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分譲マンション危機

分譲マンション危機

小林 道雄

幻冬舎MC

どんなマンションでもいずれは起こる、 住民を悩ます数々の病理 国民の約10人に1人は分譲マンションで生活するといわれる現代。 今、マンションに住む人たちは大きな危機に瀕している。 老朽化と大規模修繕、管理組合の人付き…

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