
終息の兆しが見えないコロナ禍、世界的な景気低迷の一方での株価暴騰など、私たちを取り巻く社会・経済環境は極めて不安定です。日本では急激な勢いで超少子高齢化が進展中ですが、それを憂う誰しもまた、いずれは老後を迎えます。人生の安定のため、着実な資産形成を行うにはどうしたらいいのでしょうか。資産運用会社のアライアンス・バーンスタイン株式会社で運用戦略を行う後藤順一郎氏が解説します。※本記事は「ニッキン投信情報」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。
[PR] 4/28(水)・米国株投資セミナー/オンライン開催
今、米国IPO投資で話題のSPAC(特別買収目的会社)の最新事情
詳細はコチラ>>
長期投資における最重要事項は「資産配分」なのに…
新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念から、株式や社債市場が大きく値下がりしたタイミングで投資を始めた若者が増えているとの報道がありました。
日本はここ数年、投資を若者に普及させようと官民上げて取り組んでいますので、きっかけは何であれ投資家が増えるのは望ましいことです。しかも、値下がりしたタイミングで購入するのは、投資のみならずすべての購買行動の基本ですから、感染拡大の「第3波」襲来で市場が底抜けしなければ、投資を始めるのに適した投資タイミングなのかもしれません。
しかし、タイミングを当てるのはプロでも難しく、結果は運次第といっても過言ではありません。私は、最近の投資家の関心がそんなことばかりに向かってしまい、長期投資をする上での最重要事項が、なおざりになっているのではないかと懸念しています。
その最重要事項とは、ズバリ、資産配分です。長期運用において資産配分は投資リターンの変動性の約9割を説明すると言われるほど大事な意思決定ですが、そこに注意を払っていない投資家やファイナンシャル・アドバイザーが多いのではないかと感じています。

「老後の到来」「少子高齢化社会」からは逃れられない
新型コロナウイルスにより市場は荒れ、経済活動も低迷しており、少し先の将来も見えない状況です。しかし、このような不透明な中であっても、依然として明確なものが二つあります。
一つ目は、新型コロナウイルスの影響で給料が減ろうが、職を失おうが、誰しも年をとるということ。誰にでも等しく老後はやってきます。しかも、老後は次第に長くなっており、「人生100年時代」が単なるキャッチフレーズではなくなりつつあります。
二つ目は、日本の人口動態が少子高齢化によって急速に悪化すること。将来の人口動態は死亡率や出生率などからかなり正確に予測できます。これに基づけば、現役世代と高齢者のバランスが悪化し、公的年金がますます弱体化していくこともやはり明確なのです。
新型コロナウイルスによって不透明感が高まる今だからこそ、確度の高い長生きや公的年金減額に注意を向け、何らかの対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
[PR] 5月19日(水)開催/WEBセミナー(無料)
世界25ヵ国、約64兆円の機関投資家・富裕層資金を運用する、
米国アライアンス・バーンスタインによる「米国株式市場の投資環境・見通し」