相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、親との同居や介護が、遺産分割時に評価されるのか見ていきましょう。

 

では、どれくらい昔の生前贈与が対象となるかについて、判例解説などを見る限りでは、たとえば40年以上前の預貯金の生前贈与などがその例としてあがっています。

 

そうなると、5~10年前の生前贈与は、余程の事情がない限りは遺留分侵害額請求の対象となる可能性が高いと考えられます。

 


 

【判旨:最高裁判所平成10年3月24日判決】

 

「民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。」

 

「けだし、民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法一〇四四条、九〇三条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。」

 


※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。

 

 

北村 亮典

こすぎ法律事務所弁護士

 

 

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