2021年におけるM&A拡大チャンスの展望
テクノロジーはコントロールできる側面ですが、2021年のM&Aに影響を与えると思われる要素は他にもあります。その内のいくつかは既に私たちの目の前にあるものです。
米国では、税制改革の可能性に伴い2020年後半に取引数が増加しました。しかしDatasiteの2021年の予測によると、ディールメーカーの大部分は、安全な新型コロナウイルスワクチンの出荷・接種開始や、その他の要素の影響で12ヵ月のM&Aに大きな影響を与えると考えられています。
M&A投資分野について言えば、Datasiteの調査に回答したM&Aの専門家たちは、2021年末までに、取引量でアジア太平洋地域が北米を追い越し最大のM&A投資ターゲットとなると予想しています。これは世界のM&Aマーケットにおける大きなシフトと言えます。
また、弊社の「Deal Driver:APAC地域2020年第3四半期レポート」によると、取引金額ではTMT(テクノロジー・メディア・通信)、製薬・医療・バイオテクノロジー、金融サービスの各業界が日本における第3四半期のM&A活動のTOP3を占めました。取引数の合計で最も活発にM&Aが行われた分野はTMTで、取引数は22件、取引金額合計は416億米ドルでした。取引数17件、取引金額合計67億米ドルであった2019年第3四半期に比べ大幅な伸びを示しています。
来年、日本における取引件数はさらに伸びると思われますが、2020年取引金額の大きな部分がNTTによるNTTドコモ完全子会社化によるものであるため、取引金額で2020年を超えるかどうかは分かりません。NTTは9月に、それまで所有していなかったNTTドコモ株の公開買い付けを行うと発表し、取引金額は日本企業によるTOBとしては過去最高の4兆円(380億米ドル)超となりました。
一方、製薬・医療・バイオテクノロジー分野の取引金額は31億米ドル(取引数13件)でしたが、その大きな部分を武田薬品工業の子会社である武田コンシューマーヘルスケアのBlackstoneによる買収(23億1000万米ドル)が占めていました。「マージャーマーケット」によると、この取引は日本の大規模複合企業による非中核資産売却の流れに沿うもので、この傾向は中期的には継続するものと見られています。
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