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【アジア太平洋地域のM&A】中国エネルギー市場の進展

各国が新型コロナウイルスの影響を受ける中、いち早く復調を見せている中国ですが、中国エネルギー市場の今後の発展は、アジア太平洋地域全体にとっても非常に重要な課題となります。グローバルでM&Aの専門企業にクラウドサービスを提供するDatasiteが、中国エネルギー市場を中心に、アジア経済の今後を分析・解説します。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

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中国、消費活動も天然資源需要も「堅調に回復」

2020年の前半から半ばにかけて、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための移動制限が原因となり、特に石油の需要が落ち込み、アジア太平洋地域におけるエネルギー事業が大きな打撃を受けました。ブレント原油は、1月初旬の68アメリカドル/バレルから4月には20アメリカドル/バレルを切るまでに急落しました。

 

一方、アメリカでは、原油価格が一時的にマイナス40アメリカドル/バレル近くも下落し、130年にわたる原油生産の歴史の中で最も大きな混乱が発生しました。しかし、2020年の後半、状況は急速に改善しました。

 

中国における移動制限が緩和されたことで、中国国内の経済が復活しました。中国は、世界有数の急速に発展し続ける国として、確固たる地位を再び築いたのです。新型コロナウイルスの感染拡大の初期段階に実施された、厳格な感染対策により、2020年後半には中国の消費活動は急速かつ堅調に回復し、エネルギーや天然資源に対する需要も回復しました。

 

中国経済が成熟していく中で、中国のエネルギー市場が今後どのように発展していくかは、中国だけでなくアジア太平洋地域全体にとっても非常に重要な課題なのです。

 

このことを念頭に置くと、2019年12月に設立された中国の国有企業である中国石油天然気管網集団(パイプチャイナ)が7月下旬に発表した一連の案件が、当国のエネルギーの未来について多くのことを示唆しているかもしれません。

 

弊社の報告書、「Deal Driver:APAC FY 2020」でも示されているように、2020年にアジア太平洋地域で最も重要なエネルギー、鉱業及び公益事業(EMU)の5つの案件に中国が関わっていることが明らかになっています。

パイプチャイナ、パイプライン資産500億ドルを買収

EMU事業における最大の取引であり、2020年にはアジア太平洋地域の全部門の業界において最大規模の取引となったのは、前述のパイプチャイナによるペトロチャイナの重要な石油・ガスのパイプライン資産10数件に対する、約500億米ドルに及ぶ買収でした。

 

パイプチャイナは、国営エネルギー企業であるペトロチャイナとシノペックから、多数のパイプラインと貯蔵施設を買収しました。このような業界再編の動きは、将来的にパイプライン資産のスピンオフにつながる可能性を秘めています。

 

7月に4件の買収を行ったパイプチャイナは、そのわずか数ヵ月後にも数十億ドル規模で、香港の上場企業クンルン・エナジー社を買収しました。同社は重要な石油・ガスの中流インフラの所有権を継続的に強化しています。上記の買収時には、すでに数百社の企業が、クンルン・エナジー社のパイプラインや液化天然ガス基地を利用できる出荷ライセンスを登録していました。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

中国経済発展のカギとなる「天然ガス」

中国は、2060年までに経済においてカーボンニュートラルを実現すると表明し、これに関して、天然ガスが重要な役割を果たすと見られています。

 

天然ガスは、大気汚染の緩和や石炭からの脱却を図る上で重要な要素なので、パイプチャイナの開発のように、中国のガスおよびクリーンエネルギー市場の競争力を高め、投資を促すための改革は、今後ますます頻繁に行われるようになると予想されます。

アジア太平洋地域のEMU事業も、中国企業が独占か

2021年には、アジア太平洋地域におけるEMU事業での取引において、引き続き中国企業が独占することになるでしょう。

 

景気が回復し、商品の需要が高まることで経済活動が活発になるはずです。オーストラリアなど他のアジア太平洋諸国も、この分野ではまだ中国に大きく引き離されている状況ですが、2020年同様に成功を収めることができるでしょう。

 

 

清水 洋一郎
Datasite 日本責任者

 

 

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Datasite  日本責任者

米国で金融、IT、自動車、製造業のマーケティング担当を経て、国内大手IT会社やSIerで金融ITソリューションなどの営業・マネジメントに20年以上従事。

カントリーリスク管理やマクロ経済学の知識を生かし、様々な国内外資系企業のコンサルティングを経験。

現在、Datasite日本法人の代表として、日本市場における事業開発や事業拡大を統括している。

著者紹介

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