「1/12~1/17のFX投資戦略」のポイント
[ポイント]
・先週後半、米ドルは注目のNFPが予想より悪かったことなどにもかかわらず反発。米金利の大幅上昇が結果とみられる。「コロナ・ショック」後の株高、米ドル安に変化がある可能性。
・「コロナ・ショック」後に株高、米ドル安が続いてきたことを考えると、米ドル高に転換した場合、株高も株安へ転換する可能性。
先週後半、104円まで反発した米ドル
先週の米ドル/円は、一時102円台半ばまで下落しましたが、注目された米雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)が予想より悪かったにもかかわらず、週末には104円まで反発する展開となりました(図表1参照)。
ところで、こんなふうにこの間の米ドル安値更新から、先週後半米ドル反発に転じたのは米ドル/円に限ったことではなく、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルなどでも同様でした。注目イベントの米雇用統計などは、むしろNFP(非農業部門就業者数)が予想より悪い結果となったにもかかわらず、先週後半の米ドルが反発となった原因は何なのでしょうか。
これについて、比較的うまく説明できそうなのは米金利の上昇でしょう。たとえば米10年債利回りは、先週、1%を大きく上回る急騰となりました(図表2参照)。先週の米国の政治情勢から、民主党主導の景気対策強化期待が高まったことが原因でしょう。
為替相場は、昨年3月の世界的な株大暴落「コロナ・ショック」が一段落した後、株高・米ドル安を中心に金利より株との連動が強い状況が続きました。ところが先週は、株高にもかかわらず米ドルは週後半に上昇、むしろ上述のように米金利上昇に連動した形となったわけです。これは一時的なものなのか、それとも根本部分で何か変化があるのでしょうか。
金利差と為替相場のかい離は是正された可能性がある
昨年3月以降株高・米ドル安が続いたことについて、私は「コロナ・ショック」で生じた、金利差からかい離した高過ぎる米ドルの修正が基本だったと考えてきました。
そして、そんな金利差と為替相場のかい離は、最近までにほぼ是正された可能性があります(図表3参照)。
為替相場と金利差との関係が基本的に正常に戻ったならば、先週のように豪ドル/米ドルなども、株価ではなく金利で説明できる動きになったことも、理解することができます。
以上のように見ると、コロナ・ショック後の米ドル安は、豪ドル/米ドルやユーロ/米ドルなど、為替と金利差とのかい離がほぼ是正されたことにより、さらなる米金利低下とならない限り、終わりつつある可能性があるのです。
では米ドル/円も同様に反発に向かうのでしょうか。