「うちは強い人間やと思ってた」
「自分が一番偉いと思っていたおばあちゃんが、そうかいなと思っただけでもいいと思うけど」と言うと、「うちは強い人間やと思ってた。弱かったら生きていかれへんやろ。自分の思う通りにやってきた。人の言うこと聞いてたらつまらん生活せなあかんやろ。そやから頑張ったんや」
「頑張ったのは分かるけど、助けてくれる人が周りに居たから頑張れたんと違うの」
「誰が助けてくれるんな。そんなもん居らへんかった」
「そやけど、おばあちゃんのお母さんが家の用事をしてくれたんと違うの。おばあちゃんが皆やったんか」
「そら、家のことは皆やってくれたけど」
「それごらん。何もかも一人でやってると思ってても誰かが助けてくれてるんよ」
「そやけど、神さんや仏さんは何をしてくれたんや」
「そら目には見えへんけど、色々助けてもらってると思うよ。私はおばあちゃんと違って弱い人間やから、神仏や人に助けを求めるほうやわ。聖書に『全て重荷を背負っている人よ私の元に来なさい。楽にしてあげます』という言葉があるけど、人間は弱いもんやと私は思う」と言う。
そんな話をしているうちに夜も白々と明け、姑はいつの間にか眠っている。私も横になるが寝つけず、またもや徹夜してしまった。
本記事は幻冬舎ゴールドライフオンライン掲載の『嫁姑奮戦記』を再編集したものです。