入院中に大腿骨を骨折した姑。手術は成功した一方で、介護の負担が減ることはなかった。息子夫婦の協力によってつかの間の休息をとることができたものの、癇に障るお見舞いや姑の理解できない言動に今後への不安が募っていく。 ※幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』を連載でお届けします。

「うちは強い人間やと思ってた」

「自分が一番偉いと思っていたおばあちゃんが、そうかいなと思っただけでもいいと思うけど」と言うと、「うちは強い人間やと思ってた。弱かったら生きていかれへんやろ。自分の思う通りにやってきた。人の言うこと聞いてたらつまらん生活せなあかんやろ。そやから頑張ったんや」

 

「頑張ったのは分かるけど、助けてくれる人が周りに居たから頑張れたんと違うの」

 

「誰が助けてくれるんな。そんなもん居らへんかった」

 

「そやけど、おばあちゃんのお母さんが家の用事をしてくれたんと違うの。おばあちゃんが皆やったんか」

 

「そら、家のことは皆やってくれたけど」

 

「それごらん。何もかも一人でやってると思ってても誰かが助けてくれてるんよ」

 

「そやけど、神さんや仏さんは何をしてくれたんや」

 

「そら目には見えへんけど、色々助けてもらってると思うよ。私はおばあちゃんと違って弱い人間やから、神仏や人に助けを求めるほうやわ。聖書に『全て重荷を背負っている人よ私の元に来なさい。楽にしてあげます』という言葉があるけど、人間は弱いもんやと私は思う」と言う。

 

そんな話をしているうちに夜も白々と明け、姑はいつの間にか眠っている。私も横になるが寝つけず、またもや徹夜してしまった。

 

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンライン掲載の『嫁姑奮戦記』を再編集したものです。

 

 

嫁姑奮戦記

嫁姑奮戦記

大野 公子

幻冬舎メディアコンサルティング

入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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