入院中に大腿骨を骨折した姑。手術は成功した一方で、介護の負担が減ることはなかった。息子夫婦の協力によってつかの間の休息をとることができたものの、癇に障るお見舞いや姑の理解できない言動に今後への不安が募っていく。 ※幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』を連載でお届けします。

「こんななったの罰が当たったんやろか」

「公ちゃん、うち、こんななったの罰が当たったんやろか」と今度は喋り始める。

 

「また、何でそんなこと言うの」と聞くと、「うちがこんなに頭悪うなったんは、やっぱり罰が当たったんと思うわ」

 

「罰当たるようなことしたの」と私。

 

「いや、そんなことした覚えはないんやけど、そやなかったら何でこんな気おかしくなるんや」と聞かれる。

 

「育った環境とか性格とかのせいかもしれんね。おばあちゃんは一人っ子の一人娘。それに結婚言うても養子さんで外に出たことないから、家以外の場所に来ると不安やし気を使いすぎるんと違うやろか。どっちか言うたら、おばあちゃん内弁慶でしょうが。それに自分の思うようにしかしないでしょ。規則とかに縛られるのも嫌いやし。ここは勝手が出来へんもの。それがすごい負担になったんと違うやろか」

 

「確かにうちは気ままや」

 

「それと、ここでは私の言うこと聞かなならんでしょ。これもすごいストレスと違う?」と意地悪を言ってみる。

 

「そんなことないけど」と考えている。

 

「そういえば、おばあちゃんは前から神や仏なんか何の助けになるんや。金儲けさせてくれるか? 頼りになるのは自分だけやと言ってたよね。強い人やと思っていたけど、少し傲慢やったのかな」と言うと、

 

「神さんや仏さんにどうして謝ったらいいの?」と聞く。

 

「私もよう分からんけど、手を合わせてお祈りしたら心が穏やかになるかもしれないよ」

 

すると、寝たまま胸の所で手を合わせている。

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嫁姑奮戦記

嫁姑奮戦記

大野 公子

幻冬舎メディアコンサルティング

入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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