「こんななったの罰が当たったんやろか」
「公ちゃん、うち、こんななったの罰が当たったんやろか」と今度は喋り始める。
「また、何でそんなこと言うの」と聞くと、「うちがこんなに頭悪うなったんは、やっぱり罰が当たったんと思うわ」
「罰当たるようなことしたの」と私。
「いや、そんなことした覚えはないんやけど、そやなかったら何でこんな気おかしくなるんや」と聞かれる。
「育った環境とか性格とかのせいかもしれんね。おばあちゃんは一人っ子の一人娘。それに結婚言うても養子さんで外に出たことないから、家以外の場所に来ると不安やし気を使いすぎるんと違うやろか。どっちか言うたら、おばあちゃん内弁慶でしょうが。それに自分の思うようにしかしないでしょ。規則とかに縛られるのも嫌いやし。ここは勝手が出来へんもの。それがすごい負担になったんと違うやろか」
「確かにうちは気ままや」
「それと、ここでは私の言うこと聞かなならんでしょ。これもすごいストレスと違う?」と意地悪を言ってみる。
「そんなことないけど」と考えている。
「そういえば、おばあちゃんは前から神や仏なんか何の助けになるんや。金儲けさせてくれるか? 頼りになるのは自分だけやと言ってたよね。強い人やと思っていたけど、少し傲慢やったのかな」と言うと、
「神さんや仏さんにどうして謝ったらいいの?」と聞く。
「私もよう分からんけど、手を合わせてお祈りしたら心が穏やかになるかもしれないよ」
すると、寝たまま胸の所で手を合わせている。