同じ医師でも「500万円以上」違う…年収格差の実態
医師は一般サラリーマンより格段に収入が高く、社会的地位も認められています。これは、医師資格を取得するため若い頃から努力を積み重ねてきた恩賞といえるでしょう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年)によると、医師全体の平均月収は約90万円で、ボーナスなどの臨時収入を含めた年収は約1200万円になります。仮に同年収レベルで30歳から65歳までの35年間働き続けた場合、生涯収入は約4.2億円にのぼり、概ね1.5億円程度といわれる一般サラリーマンの生涯年収と比較して2倍以上の差がつきます。
だからといって医師のすべてが高収入かといえば、そうともいえません。前述の厚労省調査によると、従業者数が10人~99人規模の医療機関では医師の平均年収が1741万円、100人~999人では1455万円、1000人以上では1169万円となっています。10人~99人規模の医療機関は恐らく個人経営などの開業医、1000人以上は大規模な総合病院、すなわち研修医・勤務医の就業先と思われます。
この調査結果から、開業医と研修医・勤務医の間では年額にして500万円以上の大きな格差が生まれていることがわかります。10人~99人規模(開業医)の平均年齢が55.3歳に対し、1000人以上規模(研修医・勤務医)は36.7歳で、若い医師の収入が極めて低い傾向にあります。このまま大規模病院に雇われ続けていたらこの格差を埋めることはできず、また学生時代から重ねてきた苦労や投じた学費を取り返すこともできません。
将来、「サラリーマン並みの年収」に転落する可能性
医療を取り巻く喫緊の課題として「医療費の増大」があります。日本国内では、急激な高齢化と医療の高度化に伴い、国や企業が負担する医療費が大幅に膨れ上がっています。国の負担は国民が支払う健康保険料や税金から賄われるものなので、その代償は現役で働く若い世代にのしかかってきます。加えて、医療機関で診察を受ける際は自己負担割合の診察料も払わなければなりません。
今後さらに高齢化が進めば、自己負担1割の後期高齢者医療制度によって現役世代の負担が増えるのは確実です。毎月の健康保険料を律儀に支払い続けても、高齢化だけでなく少子化も相まって保険制度自体が成り立たなくなる可能性もあります。
そのような事態を避けるため、厚労省では医療制度の抜本改革に着手し、まずは「医療費の伸びの抑制」について議論が始まっています。医療費の抑制となると、医療に携わる医師の収入にも少なからず影響が及ぶことになります。
有識者の間では、医療費の適正化(=診療報酬の見直し)についても話題が上がっており、医師という職業の在り方が見直され、これまで築いてきた社会的地位も一般サラリーマンと同等になってしまうかもしれません。
「医師=高収入」である今こそ、資産形成のはじめ時
少子・高齢化が加速し続ける限り、医療コストは削減される方向へと進まざるを得ません。そうなると、医師という職業も「安泰」とはいえなくなる時代が到来することになります。
仮説ではありますが、そんな時代が来ても現在と同じ豊かな暮らしを継続するための準備をしておく必要があるのではないでしょうか。その手段のひとつは「投資」です。
投資と一言にいっても、国債や株式・FX、不動産など、その種類はさまざまです。しかし、投資する人の就業環境によっては向き・不向きがあります。たとえば、1日の間に価額が乱高下を繰り返すFXのような商品は多忙な医師に向いていません。
国債や株式は比較的少額から掛けることができるので気軽に取り組めますが、高額資金を動かすことができる医師の皆さんには、ぜひ不動産投資に挑戦していただきたいと思います。
不動産の購入となると数千万円から数億円の資金が必要ですが、一括現金で支払う必要はありません。医師という職業柄、金融機関の融資が通りやすいので、手元に豊富な資金を残したまま不動産を手に入れることができますし、さらにもう1戸、もう1棟と所有不動産を増やし続けることも可能です。
建物の管理についてもさまざまなサービスがあり、家賃の集金から滞納時の督促、突発的な設備の不具合に対応する業者の手配、退去・入居時の書類手続きなど、不動産のプロにすべて任せられる環境が整っています。
<まとめ>
医師と不動産投資は極めて親和性が高く、リスクを最小限に抑えることが可能な手段です。強いていえば、高収入の医師が不動産投資に取り組まないのは「資産の持ち腐れ」です。せっかくの高収入を得ているのですから、その収入の一部を積極的に運用して不労所得の獲得を目指してみませんか。毎月数万円、数十万円でも不労所得があれば、仕事に対する姿勢や、人生に対する期待も大きく変わってくるものです。
大山 一也