「テレビは終わった」は本当なのか?
新型コロナウイルスの感染再拡大で、自粛を余儀なくされた年末年始。「三が日のテレビ視聴は過去10年間で最高値」という報道がありました。
自粛要請はもちろん、そもそも休みの日取りも悪かった今回の年末年始は、家でテレビを観るしかすることがない、という人も多かったのでしょう。「テレビ離れ」と言われているのは、多くの人が感じるところ。「最近、テレビを観なくなったなあ」という会話もよく聞かれますが、実際のところはどうなのでしょうか。
総務省によると、テレビの平均視聴時間は、1989年(平成元年)は午前中に51分、午後に1時間7分、夜に1時間57分、合計3時間42分でした。ちなみにこの年、プロ野球のナイター放送は最高視聴率30%を超え(日本シリーズ除く)、朝の連続テレビ小説は40%超え、民放ドラマでは『教師びんびん物語2』、アニメでは『サザエさん』が30%を超えるなど、テレビが元気だった時代です。
平成時代のテレビ平均視聴時間のピークは1997年(平成9年)。午前に58分、午後に1時間2分、夜に2時間27分、深夜に18分、合計4時間45分もの間、テレビを観ていました。この年、ワールドカップで日本が初出場。プロ野球のナイター中継もまだまだ元気だったころ。ドラマでは朝の連続テレビ小説のほか、『ひとつ屋根の下2』『ラブジェネレーション』が30%超え。バラエティでも『マジカル頭脳パワー!!』や『SMAP×SMAP』など、20%超えもそれほど珍しくありませんでした。
同調査の最新となる2017年(平成29年)は、午前に1時間10分、午後に59分、夜に1時間55分、深夜に4分、合計4時間8分。平成時代の初めの頃から比べると平均視聴時間は増えていますが、近年は下降傾向。さらにこの1、2年で、若者を中心にインターネットで動画を観る習慣が定着し、現在はさらに視聴時間は減少しています。
総務省によると、インターネットの利用時間は2000年以降、特に10~20代を中心とする若者世代で急増し、2015年には1日あたり100分以上利用するように。テレビ視聴時間と逆転しました。
ではこのままテレビは観ないようになるのか、といえば、そうではないようです。実際、家に帰ってきたらとりあえずテレビをつける、という人は多いでしょう。料理をしているけど、本を読んでいるけど、スマートフォンをいじっているけれど、とりあえず、テレビはついている……そんなシーンが日常化しています。
特に、テレビを観ながらインターネットを利用する、という並行利用の動きがみられます。総務省の調査によると、調査対象日1日に各情報行動を行う者の割合(行為者率)をみると、テレビ視聴は85%、ネット利用が74%、両方の並行利用は35%となりました。また、テレビを観ながらソーシャルメディアを利用する、またはソーシャルメディアでテレビの情報を得て視聴し始める、ということも珍しくありません。
家の中心にテレビがある、という時代は終わったかもしれませんが、いまなお、余暇とともにテレビがあるという私たちの生活は顕在のようです。
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