「どのような目的で貯金していたのか」が重要
出産祝いや入学祝い等の祝い金を子ども名義の口座に貯めていた場合、このお金は第三者から子どもに贈与されたものとみることが可能です。
したがいまして、子ども名義の預金はあくまでも子どものものであるとして、夫婦の財産分与とは無関係といえることになります。
問題は、夫婦の毎月の収入等を、単に子ども名義の口座に積み立てていたような場合です。この場合の子ども名義の口座の預金は、夫婦の収入が原資となっているものですから、夫婦の共有財産といえ、離婚時の財産分与の対象となる、というのが原則的な考え方といえます。
この原則に対しては、それが子どもの将来の教育費のため、結婚資金等子どものために使う意図で預金したものであった場合には、親から子どもに贈与されたものとして、夫婦の財産とは別のものになるという考え方もあります(高松高等裁判所平成9年3月27日判決)。
以上の通り、この問題を判断するにあたっては、
・子どもに贈与する(子どものためだけの)目的の預金なのか
・それとも家族としての生活費の貯蓄目的の預金なのか、いずれの目的の預金なのか
が重要です。
もっとも、これらを明確に切り分けることも難しい場合が多いので、以上のような事情の他にも、子ども名義の預金がなされた状況や、それが夫婦共有財産に占める割合などの事情を総合考慮して、離婚時の財産分与の対象とすべきか、対象となる部分はどの程度の金額になるかが決められることが多いです。
【判旨:高松高等裁判所平成9年3月27日判決】
「なお、控訴人は、右認定の財産のほか、長女春子名義の預金二四三万三五四六円及び三女秋子名義の預金一三七万三九九一円も、財産分与の対象に含めるべきであると主張するが、いずれも子に対する贈与の趣旨で預金されたと認めるのが相当であるから、財産分与の対象財産とならない。」
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所弁護士
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