この記事は、音田正光著『薄毛革命「自毛主義」のすすめ』より一部を抜粋・再編集したものです。

社員旅行を早退したのは「ハゲいじりが嫌」だから

さらに、最も私を苦しめたのが、会社などの飲み会の席でした。同僚らと飲んでいると、私の正面の席に座った女性たちが、なぜかクスクス笑っています。いやな予感がして急いで振り返ると、一人の同僚が私の背後に立ち、薄い頭頂部にマジックでいたずら書きをしようとするような悪ふざけをしているのです。でも、怒ることはできません。酒の席だし、「冗談の通じないKYだ」と言われるのが怖いからです。くやしさ、恥ずかしさ、みじめな思いをかみしめながらも、「やめてくださいよ~」とおちゃらけ、彼らと一緒になって笑うしかないのです。

 

社員旅行でも同じようなことがありました。バスの中で、またみんなが私を見ながらニヤニヤ笑っています。見ると、誰かお調子者が、私の頭頂部をさするしぐさをして笑いを取っているのです。このときも私はみんなに合わせて笑うしかありませんでした。こんなことが社員旅行のたびにあったのです。私は我慢しきれず、嘘の体調不良を理由に、旅行から途中で一人、帰ったこともありました。薄毛の悩みを持たない人からしたら、「髪が薄いくらいで気にしすぎだ」と思われるかもしれません。でも、薄毛の人間にとってはそれほど深刻で、辛い悩みなのです。

 

また、世の中には事故や病気などのせいで手や脚を失った方もいます。不謹慎に聞こえるかもしれませんが、以前の私は「髪がないより、手や脚がないほうがマシだ」と思ったこともありました。手や脚は隠すことができるかもしれませんが、頭は必ず人に見られる部分であって、隠しようがないからです。

 

そんな私にも当時から付き合っていた恋人がいました。現在の妻です。彼女は「薄毛の男性でもいい」という珍しい女性でした。彼女と付き合い始めた頃、私は坊主に近い頭をしていました。それで薄毛を隠していたのです。ところが結婚を決め、結納をするとなると、相手の家族にも会わなければなりません。その頃は薄い頭頂部に“粉”を振っていました。これは髪の毛に似た人工のケラチンの細かい粉末。それを頭に振って付着させ、薄い部分を隠していたのです。

 

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薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

音田 正光

幻冬舎メディアコンサルティング

髪が抜けて少なくなる、頭頂部が薄くなる――これは男性にとって古今東西、永遠のテーマといえる苦しみであり、さらに昨今は女性にも薄毛の悩みを抱える人が増えています。 本書では、さまざまな治療法を試しては失望してきた…

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