「株を買いたい!」「株を売りたい!」と思っていたら、売買不成立でショック…誰しも経験があることでしょう。そのような人におくりたいのが、世界の投資王と称される、ウォーレン・バフェット氏の「投資の世界には、見送りの三振がありません」という言葉です。今回は株の売買不成立が起きる理由、そして回避法などから、氏の言葉の意味を考えていきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

板を読んだ「指値」で株の売買不成立を回避する

しかし、そうでない場合は、少しでも安く買い、少しでも高く売りたいのは、当然の投資家心理です。そこでそのためには、「板」を読んだ指値注文をすることで、売買不成立を回避しつつ、少しでも良い価格で売買することが可能になります。

 

[図表1]ある銘柄“板”の再現

 

[図表1]はある銘柄の板を再現したものですが、画像上部には、現在株価の1,004円が表示されています。

 

そして青字で表示されている数字をご覧ください。ここから、1,005円での売り注文が4,000株出ていることがわかります。そしてその上を見ていくと、1,006円で24,300株、1,007円で26,000株の売り注文が出ていることがわかります。

 

次に赤字で表示されている数字をご覧ください。こちらからは、1,002円で9,700株の買い注文が出ていることがわかります。そしてその下を見ていくと、1,001円で8,500株、1,000円で37,300株の買い注文が出ていることがわかります。

 

ですから、今1,002円で100株の買い注文を出せば、確実に買うことができるでしょう。しかし、1,006円や1,007円での売り注文も多く入っているため、その人たちが妥協し、今後1,001円以下で売ってくる可能性もあります。ですから1,001円以下で買うこともできるかもしれません。

 

「板」とはこのように、価格ごとの注文状況を一覧した情報です。そしてこれを読んで指値注文を出すことにより、売買不成立を回避しながらも、より良い価格での売買が可能になるのです。

株の売買不成立を肯定的に捉えることも必要

しかし、ただ単に売買不成立を回避すれば良いわけでもありません。

 

株式投資で利益を出すためには、売買価格がとても重要です。いくら良い銘柄でも、買い値が高すぎれば、得られる値上がり益は少なくなるでしょう。また、少しの値上がりで売ってしまったけれど、その株がその後さらに値上がりしていく、という場合もあります。

 

大切なのは、妥当な買い値と売り値を、自分自身で判断することです。

 

ですから、妥当だと思える値で買い注文を出し、それが売買不成立になっても、次のチャンスをじっくり待つ。妥当だと思える値で売り注文を出し、それが売買不成立になっても、同じく次のチャンスをじっくり待つ。焦って不用意に売買を成立させるよりも、売買不成立を恐れずに納得できる価格になるのを待つ心構えも、投資には必要でしょう。

 

ちなみに、世界一の投資家と称されるウォーレン・バフェット氏も、「投資の世界には、見送りの三振がありません」と語ったそうです。

 

■まとめ

見極めよう―とにかく売買を成立させるべきか、売買不成立でも構わないのか

 

株価は需要と供給によって形成され、売り値と買い値が折り合わない場合、その株の売買は不成立となります。それを回避するためには、成行注文をするのが確実です。また、板を読んで注文することで、売買不成立を避けながら、より良い価格での売買を成立させることも可能です。

 

しかし株式投資で利益を上げるためには、売買不成立を恐れず、妥当な価格での売買にこだわることも必要です。とにかく売買を成立させるべきなのか、価格にこだわり売買不成立でも構わないのか、その見極めが重要です。

 

 

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