区分所有よりも「1棟所有」にメリットが多い
今回は、どんな建物がAirbnbに適しているかを説明します。
Airbnbには1棟オーナーのアパート・マンションが一番適しています。ここで言う1棟もののアパート・マンションの定義というのは特に厳密なものではないのですが、アパートであれば、木造にしろ鉄骨造にしろ、最大でも20戸程度はあるようなものを指します。
また、マンションであったとすれば、40~50戸程度です。このサイズの物件は現在でも多いのではないでしょうか。
そうしたアパートやマンションは、新築である必要はありません。もし新築だとしたら、賃貸で人気でしょうから、わざわざAirbnbにして貸し出す必要はありません。むしろAirbnbには、築15年~25年のアパート・マンションが絶対的に向いています。
一般の賃貸にはなかなか客づけがしにくく、部屋が空いていることが多いのですが、ちょっと古めのアパート・マンションは、地価の安い頃に建てられたものが多いので、比較的駅近など立地のいい物件が多い傾向があります。Airbnbでは駅からの立地が重要ですから、この点において魅力的です。
さらに言えば、管理会社が管理している物件よりも、オーナー自身が管理しているアパート・マンションがAirbnbには向いています。
その理由は、すべてオーナーの意向で決めることができるからです。Airbnbで貸し出す際には、部屋を宿泊用にリノベーションするケースも出てきますが、どんな部屋をつくるにしても意思決定が速いので、すぐに稼働させることができます。
一戸建ての物件はダメかというと、決してそんなことはありません。ただ、一戸建ては多くの場合、住宅地にあるため、近隣住民への騒音やゴミの問題など、相当気を使わなければならないという面があります。
また、一戸建ては郊外に立っていることが多いので、駅からの立地という点から見ると、Airbnbの運営にはマイナスに働く可能性があります。
分譲マンションの場合、「管理組合」がネックに
分譲マンションの場合は、少し注意が必要です。というのは、現在Airbnbをやっている人の多くは、1棟オーナーではなく、分譲マンションや賃貸アパートを転貸しているケースが多いのです。
転貸というのは、いわゆる「又貸し」のことです。一般のサラリーマンやフリーランス、経営者などが分譲や賃貸で借りた部屋をAirbnbとして貸し出し、開業するやり方です。
分譲マンションの場合、必ず管理組合に入ることになりますが、これがAirbnbをする上でネックになってきます。
管理組合にはオーナー間の自治ルールがあるため、オーナーからAirbnbの転貸許可をもらっていたとしても、管理組合から反対の意見が出ると、事を進められなくなります。実際、Airbnbは禁止という通達を出す管理組合も多くあります。
また、賃貸アパートにおいては、ホストが1棟オーナーに無断で転貸することで、賃貸契約を解除されてしまうという事例も出てきています。
実例を紹介しましょう。以前、代々木公園の分譲マンション1部屋を私の会社で借り上げ、オーナーから許可をいただいて、Airbnbで貸していました。
スタートから5ヶ月経ったあるとき、管理組合からオーナーに対して「日貸し転貸を禁止する」という通達が来ました。私の会社としてはできれば事業を続けたいため、管理組合と交渉するべく、顧問弁護士やオーナーとともに管理組合の会議に出ました。
しかし、管理組合の古参メンバーは「もう決まったことなので変わらない」とまったく聞く耳を持ってくれず、撤退が決定しました。
「オーナーが許可したのにどうして!?」と思われるかもしれませんが、こういった事例はよく聞く話です。どんなに転貸許可済み物件を見つけてこられたとしても、それが分譲マンションだと管理組合の決定によって急に運営停止となる可能性があります。
つまり、オーナーの思いどおりにならないことがあるという点で、分譲マンションは気を付けなければいけないのです。
結論として、隣家や地域とのトラブルになりにくく、自分だけの権限で自由に使える物件となると、Airbnb事業に適しているのは1棟オーナーということになります。