コロナ禍において資産運用の不確実性が増す中、市場に対して低ベータである「リアルアセット」に注目が集まっている。そこで本記事では、英国Sanlam Asset Management社のマルチアセットビジネスの責任者を務めるマイク・ピンゲーラ氏に、その魅力について伺った。聞き手は、ニッポン・ウェルス・リミテッド(NWB/日本ウェルス)のダイレクター幾田朋彦氏である。

総額10億ドル以上運用するファンドマネージャーに聞く

幾田 まず、ご自身の簡単な自己紹介をお願いいたします。

 

マイク    マイク・ピンゲーラと申します。英国のSanlam Asset Management社(以下、Sanlam)のマルチアセットビジネスの責任者を務めています。資産運用業には30年余り携わっていますが、そのうち20年はクレディ・スイス社で過ごし、その後3年間をインサイト・インベストメンツ社で、そして2013年からSanlamに所属しています。Sanlamに参画した当初はもう1名の同僚と100万ドルほどの資金を元手に白紙の状態からマルチ戦略ビジネスを構築しました。現在は4人のチームで2つの戦略を手掛け、総額10億ドル以上の資金を運用しています。

 

幾田    続いて、所属されているSanlamの簡単な歴史と、運用会社としてどういった特徴を持っているか、会社の文化や運用哲学に触れつつご紹介をお願いします。

 

マイク    Sanlamはおよそ102年の歴史を持つ南アフリカの保険会社を母体としています。彼らはアフリカ最大の金融機関して知られ、 現在は45ヵ国以上でなんらかの事業を展開しており、総額500億ポンド(約700億ドル)を超える資産を運用・管理しています。Sanlamは英国でマルチ・ブティック型の組織体型を採用しており、長年にわたって経験豊富な専門家やチームを雇って資金を運用してきました。私もブティックのリーダーとして組織に身を置いていますが、非常に効率的な組織体型だと思います。Sanlamがグローバル金融機関の経営資源と組織力を器として提供し、マネージャーが個々の専門性や経験を駆使して顧客に運用成果を提供する。マネージャーにとっては非常に自由度が高く、やりやすい環境といえるでしょう。

 

幾田    ある程度の裁量が委ねられているということは、Sanlam固有の市場見通し、いわゆるハウスビューに縛られずに比較的自由に投資意思決定を下しているということでしょうか?

 

マイク    そのとおりです。かなり高位の意思決定、チーム固有の市場見通しや運用方針の採用が認められています。もちろん、異なるチーム同士での意見交換やアイデアの共有はオープンに行われていますが、いわゆる「ハウスビュー」というものはありません。Sanlam固有の見通しやリサーチもあるにはありますが、それもトップにCIOがいて、下流のマネージャーに降りてくるというよりは、同格の部署が組織横断的に展開している性格のものなので、よりボトムアップなアプローチといえるでしょう。非常にユニークな構造であると思いますが、Sanlamが採用した経験豊富な個人やチームの力量を最大限に引き出せるように設計されています。

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本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、Sanlam Asset ManagementおよびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

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