コロナ禍において資産運用の不確実性が増す中、市場に対して低ベータである「リアルアセット」に注目が集まっている。そこで本記事では、英国Sanlam Asset Management社のマルチアセットビジネスの責任者を務めるマイク・ピンゲーラ氏に、その魅力について伺った。聞き手は、ニッポン・ウェルス・リミテッド(NWB/日本ウェルス)のダイレクター幾田朋彦氏である。

「リアルアセット戦略に高い需要を感じた」

幾田    ありがとうございます。それでは本題のリアルアセットについて話題を移しましょう。あなたはマルチアセット戦略の運用を当初は任されていたわけですが、その一部分に過ぎなかったリアルアセット戦略がいつの間にかスピンオフされる形で個別の戦略として運用されるようになったと聞きました。事の経緯についてもう少し詳しく教えてください。

 

マイク    はい、マルチアセット戦略にはその名前が示すように、いくつかの基本的な戦略が複数含まれており、リアルアセット戦略はそのうちの1つです。数年前、私たちとお付き合いのある投資家の一人が「Sanlamのマルチアセット戦略はとても良いと思うが、正直なところ、リアルアセット戦略が単体で欲しいと思っている」と言いました。私たちはこの要望に応えるために一任勘定口座を設定し、彼らに5,000万ドルの資金をこの戦略に投入していただきました。その後、他の投資家がより少額でも投資できるように個別のファンドを設定し、今日の運用残高は4億5,000万ドル以上まで成長するに至りました。

 

幾田    マイクさんがリアルアセットという資産クラスを1つの固まりとして意識していたからこそ、後でスピンオフできたと思うのですが、株式、債券、その他のさまざまな資産を運用する戦略が入り混じるマルチアセット戦略の中で、リアルアセットと他の資産クラスを明確に分けるようになったのはいつ頃だったのでしょうか?

 

マイク    私は2013年からSanlamにいますが、上場インフラに最初に行った投資は2006年にさかのぼります。したがって、リアルアセット投資は非常に長い間、私の投資レパートリーの一部でした。この資産クラスがより多くの注目を浴びるようになったのは、市場環境の変化が影響していると思います。2008年の金融危機以来、Brexit、米国大統領選挙などの大きなイベントが数多く発生しました。こうしたイベントは市場環境の見通しを遮り、不確実性の高い状況を作り出します。これらの短期的な不確実性を乗り越えるための最良の方法の1つは、長期的な傾向と機会について考えることであり、私たちの投資テーマでもある「機能する経済の柱(Pillars of a functioning economy)」にとってむしろ好都合な投資環境を生み出していると考え、他の資産クラスとは少し切り分けて扱うようになったのです。

次ページ「リアルアセット」の定義をどのように定めているか?

本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、Sanlam Asset ManagementおよびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録