リートは上値の重い展開
積極的な金融・財政政策が下支え
■2020年のグローバル・リート市場は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と経済の悪化から上値の重い展開となりました。積極的な金融・財政政策が下支えとなったものの新型コロナ収束の目途が立たず、上値も限られました。グローバル・リートの年初来騰落率は、現地通貨ベースで▲10.3%、円ベースで▲13.2%です(12月25日時点)。
年初来では総じて下落
オーストラリアは大きく切り返す
■2020年のリート市場の騰落率(円ベース)を地域別でみると、年初来ではオーストラリア以外の地域が下落しました。
■日本(Jリート)は、長期金利は低水準で推移したものの、オフィス需要の低迷など不動産市況の悪化などから▲15.8%となりました。
■米国は成長株に資金が集まる流れが強まったことが安定した利回りが魅力のリートには逆風となり▲13.0%となりました。
■アジア・パシフィック(除く日本)は▲4.5%でした。シンガポールが▲8.0%、香港は政治的な混迷も加わり▲17.2%でした。オーストラリアは+0.9%でした。オーストラリアは、新型コロナ感染拡大の早期阻止や、金融緩和政策が功を奏したことなどから、3月の底から12月までで+75.9%と大幅な上昇を記録しました。
■欧州市場は▲22.1%と、他の市場よりも回復が遅れました(以上12月25日時点)。
景気回復と低金利環境がリートを支援。新型コロナの収束がカギ
■2021年は、リート市場にとって明るい環境となりそうです。新型コロナに対するワクチンの接種が主要国を中心に始まっており、経済活動は次第に明るさが増す方向にあります。金融環境は引き続き緩和的で、財政政策が適宜実施される見通しです。景気回復と低金利がリート市場を下支えすると期待されます。環境は好転に向かうと考えられるので、あとは、新型コロナの収束がカギを握る見通しです。新型コロナの変異種による感染拡大や経済の回復見通しが後ずれすることが当面のリスクと言え、慎重な見極めが必要です。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年のリート市場の振り返りと見通し』を参照)。
(2020年12月28日)
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