日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点を当てるのは「認知症」。高齢化とともに認知症患者は増えているといわれていますが、その実態とは?

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相続争いの火種にもなっている認知症

増加の一途をたどる認知症ですが、介護・医療の現場のほかにも問題が顕在化しているのが相続の現場です。

 

亡くなった方(被相続人)が認知症だったケースを考えてみましょう。ある家族の父親が亡くなったとします。その父は晩年、認知症を発症していました。相続人は長男と次男と三男。遺言書がみつかり、そこには長男に有利なことが書かれていました。面白くない次男と三男は「父は遺言書作成時には認知症だった。遺言の作成能力なんてあるわけがない」と主張しました。

 

——いやいや、遺言書を作成した時、父は認知症ではなかった

 

このことを証明するのは、長男です。なかなか難儀であることは想像にたやすいでしょう。

 

また相続人のひとりが認知症の場合も、苦労するケースがあります。遺産をどう分けるかを決める話し合いである遺産分割協議は、相続人すべての人の同意が必要です。相続人のなかに認知症の人がいれば、遺産分割協議ができないというわけです。

 

このような事態を解決するための制度でポピュラーなのが成年後見制度。判断能力が不十分なため契約等の法律行為を行えない人を後見人等が代理し、必要な契約等を締結したり財産を管理したりして本人の保護を図る制度です。

 

最高裁判所事務総局家庭局の「成年後見関係事件の概況」によると、後見開始原因の第1位はやはり認知症で、全体の63.3%。そして申立ての動機については、「預貯金等の管理・解約」が46.6%、「不動産の処分」が9.2%など、相続に関連するような理由のほか、ずばり「相続手続」が7.9%となっています。

 

——もしも認知症だったら

——もしも認知症になったら

 

このような問題に対応する仕組みや制度も充実してきていますが、最も面倒なことになるのが無対策であること。将来を見越して、認知症対策はこれからの時代、必須だといえるでしょう。

 

 

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