日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点を当てるのは「認知症」。高齢化とともに認知症患者は増えているといわれていますが、その実態とは?

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都道府県別にみる「認知症が多い」のは?

もう少し、認知症について現状をみていくために、厚生労働省が3年ごと大規模な調査を行っている「国民生活基礎調査」をみていきます。

 

同調査は、保健や医療、介護などの基礎的事項の調査として、約30万世帯(世帯構成員約72万人)、介護の調査に限ると要介護者、要支援者約6000人を対象に行われています。令和元年度調査で介護の項をみていくと、「介護が必要となった主な原因」として最も多くを占めるのが「認知症」で、全体の17.6%に及びます。

 

また「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出できない」とするのが、介護が必要な人の37.1%。認知症に限ると45.3%と、8ポイント近く高くなっています。これは体力的には元気だけど、1人での外出は危険を伴うということ。認知症患者のつらい介護の現場がみてとれます。

 

また病院通院のうち、「認知症」で通院している人の割合は9.8%。「男性」は7.0%に対して「女性」は12.1%。女性のほうが認知症を理由に病院に通院している割合が高いようです。

 

年代別にみていくと、認知症で通院している人のうち、最も多いのが「80歳以上」で全体の7割以上。「70歳代」が23.6%と続きます。一方で65歳以下のいわゆる若年性の認知症は全体の3.8%となっています。

 

都道府県別にみていきましょう。65歳以上人口に対して認知症で通院している人の割合が高いのが「滋賀県」で、人口比2.99%。続いて「岡山県」で2.97%、「鳥取県」2.81%、「秋田県」2.79%、「新潟県」2.87%と続きます(図表1)

 

出所:厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」より作成
[図表1]都道府県別「認知症患者」上位10 出所:厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」より作成

 

一方で総人口に対して認知症で通院している人の割合が低いのが「鹿児島県」で1.37%。「奈良県」1.44%、「大阪府」1.56%、「福岡県」1.68%、「三重県」1.70%と続きます。

 

1位と47位の差は1.62%。それほど大きな地域差はないという印象でしょうか。

 

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