重要なのはミネラルよりも「タンパク質」
「ワカメやひじきなど海藻類を食べると髪が黒々と丈夫になる」…。すでに常識のように語られる、薄毛にまつわる話の数々があります。つい信じてしまいがちですが、それらは本当に正しいのでしょうか。
ワカメやひじき、昆布など、黒い海藻類が黒々とした髪の毛のイメージと重なるうえ、海藻類に含まれるヨードやミネラルが髪によいというのが、この説の根拠でしょう。
確かにヨードやミネラルは髪の毛がつくられるときに必要ですし、体のためにも大切な栄養素です。ただし、それらを含む食物を摂取したからといって、髪の毛が丈夫になったり、増えたりすることはありません。
それよりも、しっかりと摂取したい栄養素はタンパク質です。人間の体はすべてタンパク質からできており、それは髪の毛も同じです。そのため、過剰なダイエットで肉や魚を食べなかったり、偏食のために避けたりするのは薄毛対策としてもNG。タンパク質をきちんととらないと薄毛の原因になってしまいます。
クリニックを訪れる方々を見ていても、自覚なく偏食している女性は多いのが実態です。具体的にはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが不足しがちで、パスタやパンなどの炭水化物が中心の食事が薄毛の原因のひとつとなっていると考えています。髪のためにも、偏った食生活に陥らないように注意するようにしてください。
このように、ビタミンもミネラルも、タンパク質も必要だということは、つまり食生活においては「バランスのいい食事」が大切だということ。当たり前のことですが、薄毛対策としても、いろいろな栄養をきちんと、まんべんなくとることが基本なのです。
毛根細胞の老朽化を促進する「ストレス」
薄毛についてほかによく言われるのは、「ストレスのせいで薄毛になる」という話です。じつは、これは正しい説のようです。マウス実験では、ストレスにより成長期の毛が休止期の毛に移行した、つまり薄毛になったと実証されています。
人間がストレスを受けると、コルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。このコルチゾールが細胞の老朽化を早める活性酸素を増やし、その活性酸素が髪の毛根細胞の老朽化を促進します。それが薄毛につながるわけです。
女性の薄毛の原因のひとつは、加齢によって、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減り、男性ホルモンが優位となることにあります。ストレスを受けると、このエストロゲンの分泌が減少するため、薄毛が進行してしまいかねません。これもストレスが薄毛によくない理由です。
このストレスが睡眠不足につながると、薄毛はますます進行する恐れがあります。人体では睡眠中に脳下垂体から成長ホルモンがたくさん分泌されますが、これは毛髪の成長にとっても大切なもの。特に入眠直後からの3時間が、成長ホルモンが活発に分泌されるゴールデンタイムです。
しかし、ストレスで眠りが浅く、睡眠の質が悪いと、成長ホルモンが十分に分泌されません。それが薄毛につながることがあります。
さらに、ストレスがきっかけで円形脱毛症になる人もいます。これは一般的な薄毛とは別の症状ではありますが、いずれの面でもストレスは髪にとってよくないということがいえます。