遺産分割の際、介護への貢献度は考慮されるのか?
Q.親が亡くなりました。相続人は私長男と次男の二人です。
私は親と同居していましたが、亡くなる4年前から認知症を発症して要介護認定(4〜5)を受けていました。
ただ、親が自宅での生活を望んだので、在宅介護することとして、訪問介護やデイサービスを利用しつつも、毎日の食事やトイレ、さらに痰の吸引などもはほとんど私が付きっきりで介護していました。
親が亡くなった後、次男と遺産分割の話し合いになりましたが、私の上記のような介護の貢献についてどのように評価すべきか、次男と話し合いがつかない状況です。もし家庭裁判所の調停や審判となった場合、どのように評価されるのでしょうか。
A.相続人のうちの誰か一人だけが親を介護しており、その介護の負担がとても大きかった場合には、他の兄弟に対して介護の負担を考慮して相続分を多く主張するということは実務上非常に多く見られます。
この主張は、法律上は「寄与分」として評価できるかどうか、という点が調停や審判では問題となります。
かいつまんでいうと、親が重度の要介護状態で常時付き添いが必要な状態であるような場合で、子が介護サービスなどを利用せずに在宅で介護した、もしくは介護サービスの費用を負担した場合には寄与分が認められます。
子が介護していた場合、寄与分はどの程度認められるか
では、子が介護していた場合、寄与分というのはどの程度認められるのでしょうか。
これについては、色々な考え方がありますが、最近の調停・審判実務では、「介護保険の介護報酬基準に基づく1日の報酬額に、看護した日数をかけ、それに一定の修正をかける」という方法が取られていることが多いです。
この考え方に従って親族による療養看護の寄与分を算定したのが東京高等裁判所平成29年9月22日決定です。
「子による在宅介護の寄与分の算定」の概要
本件は、この裁判例の事例をモチーフにしたものですが、この裁判例は、子による在宅介護の寄与分の算定について、概要として次の判断を示しました。
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