相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、日付なしの遺言書が有効とみなされることはあるのか、見ていきましょう。

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父の死後発見された、日付のない遺言書は無効なのか?

Q.父が亡くなりました。私は三男です。

 

父の自筆で、「遺産はすべて三男に相続させる」という遺言のようなものが見つかったのですが、日付が書いていなかったため、遺言書として効力がない、といわれてしまいました。

 

このような書面はやはりまったく効力がないのでしょうか?

 

ちなみに、私は父の生前、家業である農業を手伝っていて、父の生前に農地の約3分の2の生前贈与を受けています。

 

「日付無しの遺言書」は、まったく効力がないのか?(画像はイメージです/PIXTA)
「日付なしの遺言書」は、まったく効力がないのか?(画像はイメージです/PIXTA)

ミスによって、遺言書が無効になってしまうことも…

A.遺言書には、大きく分けて自筆証書遺言書と公正証書遺言の2つの種類があります。

 

これら遺言書は、その効力が求められるためには、法律で定められている厳格な形式をすべて満たしていなければなりません。

 

公正証書遺言の場合は、公証人の手によって作成されるため、形式を満たしていないということは起こり得ないのですが、本人が自分で作成することが多い自筆証書遺言については

 

・押印がされていない

・日付が書かれていない

 

等といったミスによって遺言書が効力を生じない、というケースもあります。ミスがある書面は、法律上まったく意味のない(効力が生じない)ものとなってしまうのでしょうか。

日付の記載を欠いても、遺言が有効だと認められた事例

この点が問題となったのが、福岡高等裁判所昭和45年7月31日決定のケースです。

 

本件の事例と同様に、「遺産をすべて三男に相続させる」という遺言があったのですが、日付の記載を欠いていたため遺言としては効力が生じないものでした。

 

他方で、三男が、被相続人の生前にその所有する不動産の約3分の2について生前贈与を受けており、これは三男の法定相続分を大きく超えるものとなっていました。

 

そのため、この生前贈与について三男の特別受益が問題となったのですが、三男が父の家業である農業を継いでいたこと、「すべて三男に相続させる」という内容の書面があることを重視し、裁判所は、当該生前贈与について

 

「特別受益の持戻免除の意思を表示していたものと認める」

 

との判断をしました。遺言書としての形式を欠く文書の効力及び持戻免除の意思表示に関する事例として、参考になります。

 

 

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