所得税の税率は5%から45%の7段階
還付金が戻ってくるかどうかをシミュレーションしたい場合は、国税庁のホームページで公開されている「確定申告書作成コーナー」を使うと便利です。収入や経費などを入力すれば、最終的な税額を求めることができます。ここでシミュレーションをした結果、還付金が出るようであれば、たとえ確定申告が不要であっても、申告をしたほうがおトクです。
ちなみに、税金の計算方法はインターネットを使っても可能ですが、できれば、大まかにでも理解しておいたほうがよいでしょう。というのも、しくみを理解していないと、世の中にある節税方法が、どういった効果があるのかがわからなくなってしまうからです。
そこで、この項の設問をもとに、計算の流れを解説します。
最初に計算するのは「所得」です。所得とは、「収入(売上)-必要経費-特別控除」の計算によって求めることができます。
この算式の「特別控除」は、一定の要件を満たした場合にしか使えません。ですから、この段階では考えなくても結構です。まずは「収入から必要経費を引いた利益」=「所得」というイメージをもっておけば十分でしょう。必要経費については、とりあえずは「売上を得るためにかかった費用」とイメージしてください。
所得の合計額から所得控除を差し引いた金額(課税所得金額)に税率を掛ければ、所得税を求めることができます。現在、所得税の税率は5%から45%の7段階。課税所得金額が371万円であれば、「371万円×20%-42万7500円」という算式で、所得税が求められます(1000円未満の端数金額は切り捨て)。
さらに、住民税もあとからかかってきます。住民税の計算は所得税とは若干異なるのですが、ひとまず、課税所得金額の10%を住民税の目安として覚えておいてください。
副業で21万円の所得を得た場合、所得税と住民税を合計して6万円ほどの税負担が必要になります。もし、この副業の所得を20万円に抑えていれば、確定申告を省略することができますから、住民税の10%だけで済み、税負担は約2万円。手元に残る金額が多いのは、後者ということになります。
節税を考えるときには、このようにシミュレーションをしてみましょう。
なお、2013年から2038年までのあいだは、所得税の2.1%が「復興特別所得税」として加算されます。本連載では、説明を簡単にするために復興特別所得税については割愛していますが、「所得税は2.1%増し」ということを頭の片隅に置いておきましょう。
※本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2020年12月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官
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