故人が経営者だったとき調査官が「必ず聞くこと」は…
また、昔は株式会社を起こすのに、発起人が7人必要な時代がありました。このとき、名義だけを借りて、実際に出資したのは亡くなった人だけというケースもまれに見られます。この人たちは表面的には株主ということになってはいますが、実質的には出資者ではなく名義上の株主なだけですから、その分(名義株)を相続財産として申告しなければなりません。
調査官は家族や従業員に株式が渡った経緯や、本当に出資しているか、配当もきちんとその人たちに渡っているかどうかを聞いてきます。
事前に議事録や契約書などをそろえておき、これらのことを説明できるようにしておくことが必要になります。
■同族会社との債権債務
「名義株の有無」と同様、亡くなった人が会社の経営者だった場合に必ず問われるのが「会社に個人的なお金を貸したままになっていませんか?」ということです。
会社が資金繰りに困り、自分の預貯金から工面するのはよくあることですが、経営者が会社へ貸したお金は、法人税の確定申告書において毎期その状況(決算報告書の付属明細書)を税務署へ報告しています。
万一、亡くなった人が会社へ貸しているお金があり、それを残したまま相続を迎えてしまった場合には、貸付債権として相続財産になってしまいます。
というのも、会社に対して貸付金がある状態で相続が起こると、相続人は返してもらう権利を引き継ぐことになるからです。
これは本来であれば、生前に解決しておくべき問題です。経営者本人の個人的な財産から借り入れをするということは、実際に会社の経営状態は苦しいわけですから、あとから返済しようにもなかなかできるものではありません。
そのような場合には生前に、会社に対する貸付金を債権放棄しておくのが効果的です。そうすることで、会社のほうでは債務免除益になるので、決算で雑収入として組み込まれ、その分の経営者からの借金は消滅します。
会社が赤字の状態の場合、このように雑収入で受け入れても赤字の範囲内であれば税金はかからず、相続財産も減らすことが可能となります。
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