
今回は、ヘッジファンドの具体的な投資戦略、「グローバル・マクロ戦略」「イベント・ドリブン戦略」等について見ていきます。
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マクロ経済要因に基づいて投資機会を追求
●グローバル・マクロ戦略
マクロ経済要因に基づいて投資機会を追求します。金利、為替市場、株式市場および世界的な政治・経済政策の変化の予測に基づいて、多くの金融商品、市場を対象として、取引を行います。
ジョージ・ソロスの「クオンタム・ファンド」やジュリア・ロバートソンの「タイガー・ファンド」などが典型的なグローバル・マクロ・ファンドとして知られています。ジョージ・ソロスは、英国ポンドが本来の価値より高く評価されていると判断し、1992年にイギリス政府の為替介入に対抗して、英国ポンドを空売りし大きな利益をあげました。
結果、英国ポンドは売り崩され、欧州為替相場メカニズムから脱落し、ソロスはイングランド銀行を打ち負かした男と呼ばれました。
合併・破産などに関わる会社に投資
●イベント・ドリブン戦略
合併、破産または特別な状況(リストラ、資本再編、会社分割、新会社設立など)に関わる、または関わることが予想される会社に投資します。合併先企業の株式との間で裁定取引を実施する場合がありますが、ファンダメンタル分析に基づき、ディレクショナルな投資をすることもあります。
ジョン・ポールソンの「ポールソン&カンパニー」は、いずれ米国の住宅バブルが弾けると2004年頃から判断していました。それにより、サブプライムローンに対してデリバティブを駆使し、売りのポジションを構築しました。その結果、2008年に住宅バブル崩壊のためサブプライムローンの証券化商品が大暴落し、「ポールソン&カンパニー」は150億ドルの利益をあげたと言われています。
2011年には運用資産は380億ドルに達しましたが、その後は運用が不振で今年の夏には自身のヘッジファンド運用会社をファミリーオフィスに転換することを投資家に宛てた書簡で説明しました。
イベント・ドリブン戦略の中には、以下のような戦略もあります。
★合併裁定取引戦略
2社以上の企業が係わる買収、合併、会社分割などの取引に関して、取引開始時点の企業の有価証券の価格と、完了した時点との価格差により利益を得ることを目指します。
★ディストレスト証券戦略
破産状態または破産が近い会社の債券と株式の両方に投資をします。一般的には、破産状態の会社または破産から立ち直りつつある会社の割安な証券(株式、債券)を購入しますが、破産が近いと思われる会社の証券を空売りすることもあります。
※本連載は2017年に連載されたものに加筆修正を加え編集しています。
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