慶應義塾と合併予定の東京歯科大が2年連続首位
2020年3月16日、第113回目歯科医師国家試験の合格発表があった。受験者数は3211人(新卒者1995人)、合格者数は2107人(1583人)。全体の合格率は65.6%(新卒者79.3%)という結果だった。合格率は昨年と比較すると、全体の合格率で1.9%上昇、新卒者では0.1%下降とほぼ横ばいだった【歯科医師試験「大学別合格ランキング」】。
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医師国家試験同様に、歯科医師国家試験においても、出願者、さらに受験者を制限して成績を調整しているという事情を持つ大学はあることだろう。
出願者数に対する受験者数の割合で見ると、90%未満だったのは、国公立大学では1校もなかったのに対し、私立大学は、昭和大学(95.1%)、日本歯科大学新潟生命歯学部(92.0%)、日本大学歯学部(99.0%)、愛知学院大学(90.8%)福岡歯科大学(92.5%)の5大学を除いては90%以下だった。
歯科医師国家試験の結果についても、別表で入学時の偏差値ランキングと比較してみた。
偏差値1位の東京医科歯科大学は、医師国家試験合格総合ランキングでは2位。国公私立別ランキングでは1位とほぼ順当な成績だが、11位の東京歯科大学が、国立大学の難関各校を抑えて総合ランキングで1位に輝いた。2019年に続き、私大の雄として、一矢を報いたと言えるだろう。
この東京歯科大学だが、2023年4月に慶應義塾大学との合併が予定されている。慶應義塾大学歯学部となれば、さらに台風の目となりそうだ。
合格率総合ベスト10を列記してみると、3位以降は、3位(国公私立別2位)90.4%の北海道大学(偏差値6位)、4位(国公私立別3位)85.7%の大阪大学(偏差値2位)、5位(国公私立別3位)82.8%の北海道医療大学(偏差値26位)、6位(公立は同校のみ)82.4%の九州歯科大学(偏差値8位)、7位(国公私立別4位)82.1%の東北大学(偏差値6位)、8位(国公私立別5位)80.4%の岡山大学(偏差値8位)、9位(国公私立別6位)78.5%の広島大学(偏差値2位)、10位(国公私立別2位)77.6%の昭和大学(偏差値13位)という結果だった。
ベスト10入りは国立7校、私立3校と“国高私低”だ。
ベスト10のなかで注目なのは、北海道医療大学が偏差値に比して、5位に食い込んできたことだ。歯学部は1978年旧東日本学園大学に設立された。現在の学長は、元北海道大学病院長で同医学部教授だった浅香正博氏だ。「保健・医療・福祉の連携と統合」を教育理念に掲げ、パラメディカルを育成する大学であり今後の行方にも注目したい。
歯科大学・歯学部の伝統校は「旧六」といわれる。旧制歯科医学専門学校として戦後大学に昇格した6つの歯科大学だ。東京歯科大学、日本歯科大学、日本大学歯学部、大阪歯科大学、九州歯科大学、東京医科歯科大学の6校だ。
今回この6校のうちベスト10に入らなかったのが3校。日本歯科大学は総合19位(国公私立別8位)、日本大学歯学部は総合20位(国公私立別9位)、大阪歯科大学は総合18位(国公私立6位)とほぼ並んでいる。
日本歯科大学は、新潟生命歯学部が総合16位(国公私立別4位)、日本大学は日本大学松戸歯学部が総合25位(国公私立別25位)という結果だった。この2学部は、附属病院に内科、外科、耳鼻咽喉科を持ち、口腔内の健康を総合的に診ているのが特徴だ。