街の景観を保ってきた建築協定ですが、一部、「六麓荘町地区地区計画」として芦屋市の条例になっています。近年、大きな敷地を細分化して開発する事例が街の周辺で相次ぎ、住民は危機感を抱いてたそう。町内会の紳士協定だけでは街は守れないということから、道路の管理などを芦屋市に委託することになったといいます。
紳士協定のある高級住宅街はほかにもあります。しかし法的拘束力がないため、多くの高級住宅街では無秩序な開発により、美しい景観が失われつつあります。一方、法的拘束力のある条例で守られている六麓荘町。「日本で唯一生き残る高級住宅街」と言われているのは、そのためです。
高級住宅街のトップに君臨、六麓荘町に住む人は?
高級住宅街のなかの高級住宅街である六麓荘町。この街には、どんな人が住んでいるのでしょうか。国勢調査(2015年)などの結果から、その傾向を紐解いていきます。
芦屋市六麓荘町にすむのは、わずか650人で、男性296人、女性354人です。1平方キロメートルあたりの人口密度は1726人。東京の高級住宅地の代名詞である田園調布や成城学園は5000人/㎢といわれているので、六麓荘町がいかにゆったりとした街かがわかるでしょう。
居住者のうち、14歳未満は87人、15~64歳は318人、65歳以上は245人、高齢者率は38.2%です。
これらの人たちの居住年数をみていきましょう。出生時から住んでいるのが5.38%、20年以上住んでいるのが161人で24.8%、10~20年未満が100人で15.4%。5年常住率が61.9%と高く、多くの住民が六麓荘町に根付いていることがわかります。
一方で5年以内に転入してきた248人のうち、市内からが75人、県内からが34人、他都道府県からが38人、海外からが4人となっています。
世帯の状況をみていきましょう。世帯数は225で、1世帯当たりの平均は2.68人。単身者世帯が27、2人世帯が96、残りは3人以上世帯です。夫婦のみの世帯は82、夫婦と子どもで暮らす世帯が78。そのうち18歳未満がいる世帯が57となっています。世帯構成からも、現役単身者が多く住む都心型高級住宅街とは一線を画す高級住宅街だということがみえてきます。