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米国大統領選挙:20年のイベントのひとつであった大統領選挙も結末が視野に
全米50州と首都ワシントンで2020年12月14日に11月の米国大統領選挙で選ばれた選挙人による投票が行われ、民主党のバイデン前副大統領が過半数票を確保して勝利が確定しました(図表参照)。
今後の予定は、21年1月6日に上下両院が合同会議で開票作業があり、バイデン氏は1月20日に正式に大統領に就任する見込みです。
どこに注目すべきか:選挙人投票、追加経済対策、上院決選投票
2020年は新型コロナウイルスが市場動向に大きく影響しました。来年も、既に開始されたワクチン接種の拡大ペースが経済活動に影響を与えるなど、コロナの話題は続くものと見込まれます。そのような中、年末から年始にかけて主な経済、政治イベントのポイントを確認したいと思います。
まず、米国政治では来年1月のバイデン氏の大統領就任が確定的となる前に、追加経済(財政)政策について民主党と共和党の間での合意が注目されています。合意の時期の目安は12月18日です。米政府機関の閉鎖を回避する暫定予算案(18日迄)に追加経済対策を盛り込むことを両党とも目指しているからです。
就任が確定的なバイデン氏は国民の結束を訴えており、就任前のイベントながら、両党の合意は今後の動向を占うひとつの試金石とも見られます。
なお、超党派(民主と共和)が2部構成で、総額9080億ドルからなる合意案を公表しました。1つ目は中小企業支援や失業給付拡充、ワクチン供給支援を含む総額7480億ドル規模の案です。
2つ目が民主党が求める州・自治体支援1600億ドルと、共和党が重視する雇用主を新型コロナウイルス関連の賠償請求訴訟から守る免責条項で構成された案です。
従前のコロナ対策が年末に期限切れとなることから早急な対応が求められる項目を1つ目の案に盛り込み、対立が残る項目は2つ目の案に盛り込んだ格好です。最低限の合意はしても両党の対立は残ることが示唆されています。
議会の対立を見通す上で注目されるのが来年1月の上院決選投票です。上院で未確定な残り2議席(100議席中共和党は50議席、民主党は48議席)を争うジョージア州上院議員選挙の決選投票(任期満了に伴う選挙と補欠選挙)では現職の共和党議員に民主党が挑む構図です。世論調査を見ると2つの決選投票は共に接戦です。
市場では共和党が1議席は確保して過半数を獲得するとの見方が強かったようですが、結果予測は難しい状況です。仮に、民主党が2議席を獲得すれば、実質的には後退していたブルーウェーブシナリオとなるだけに、ねじれ議会が心地よい市場への影響も懸念されます。
欧州では英国と欧州連合(EU)の通商交渉は年末迄もつれ込みそうな勢いです。英国のEU離脱は現在移行期間ですが、この期限は12月31日です(図表参照)。
仮に年内に合意できなければ年初から関税や英国にEUメンバーとして与えられてきた手続きの免除が復活するだけに、経済の混乱が想定されます。これまで双方から「交渉期限」が設定されてきましたが後ズレを続けて、結局合意には至っていません。市場が日程から考えて実質的期限と考えていた12月13日も合意には至りませんでした。
ただ、英国とEUはその後も交渉の継続で合意して、自由貿易協定の合意期限を年末に設定しています。まだ何らかの合意の思惑があるとも見られ、ポンドは不安定ながらも水準を維持しています。
このような政治的イベントの合間に米、英、日の中央銀行による金融政策決定会合が予定されています。米連邦準備制度理事会(FRB)は債券購入のフォワードガイダンス(政策の指針)の変更、日銀は新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの期間延長決定などが予想されます。
どちらも必要な対応ではありますが、踏み込んだ政策とは言い難いと思われます。金融政策の重要性が失われたわけではありませんが、金融政策に過度に頼っていた頃とは様相が異なる1年でした。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『コロナの1年、年末から年明けの注目イベント』を参照)。
(2020年12月15日)
梅澤 利文
ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト
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