中学入試で狙われやすい「江戸時代」、正しく理解できていますか? 人口が激増した江戸時代中期。教科書では当時の江戸を「世界最大の都市」と呼ぶこともあります。鎖国後、国内に向けた政策を次々と打ち出して経済は大発展。また、民衆を中心とした文化も花開きました。入試では記述問題として狙われることが多く、しっかりと背景を押さえていなくては解答できません。ここでは江戸時代中期にあたる「元禄時代」を解説します。※本連載は中学受験専門塾ジーニアス運営会社代表・松本亘正氏の著書『中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる合格する歴史の授業 下巻(江戸~昭和時代)』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

徳川綱吉の時代…平和な世の中で栄えた「元禄文化」

徳川綱吉(とくがわつなよし)の頃を、元禄(げんろく)時代と呼びます。勘違いしてほしくないのですが、江戸時代が終わったわけではありません。江戸時代の中に元禄時代があるということです。室町(むろまち)時代の前半を南北朝(なんぼくちょう)時代と言ったり、応仁の乱以後を戦国時代と言ったりするのと同じですね。

 

元禄時代は生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)が大真面目に出されるくらいですから、平和な世の中でした。鎖国(さこく)している分、桃山(ももやま)文化とは違って、外国の影響も少ない。

 

そこで、いろいろな作品が誕生します。1つひとつを詳しく説明すると長くなるので、ここではまず覚えるべき事柄をまとめておきます。

日本人におなじみの「松尾芭蕉」など…元禄時代の文学

上方かみがた〔大阪、京都〕)中心>

 

●井原西鶴(いはらさいかく):

浮世草子(うきよぞうし)と呼ばれる小説を書いた。人々のどろどろした欲を上手に表現し、恋愛物の『好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)』、カネに目がくらんだ商人の話の『日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)』『世間胸算用(せけんむねさんよう)』が有名。

 

●松尾芭蕉(まつおばしょう):

主に東北地方を旅した、紀行文の『奥の細道(おくのほそみち)』が有名。

 

「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」

「五月雨を あつめて早し 最上川」

 

といった俳句を作品中で詠んでいる。

 

●近松門左衛門(ちかまつもんざえもん):

義理と人情の板ばさみに悩む人々の姿を、人形浄瑠璃(じょうるり)や歌舞伎(かぶき)の脚本に描く。『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』が有名。

 

人形浄瑠璃とは、三味線を使った語りに、あやつり人形が組み合わされたもの。

 

学校の教科書では、『好色一代男』や『日本永代蔵』、『曽根崎心中』の内容を詳しく書いていません。たぶん、小学生にとっては不適切だからじゃないかな。心中とは、愛し合う男女が自殺すること。そういう作品は、子どもには教えられない…。知りたい人は、中学生になってからどうぞ。いや、中学生にとっても不適切かな。

 

『奥の細道』をまとめた松尾芭蕉

 

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次ページ切手で有名な「見返り美人図」も元禄時代の作品
中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 下巻(江戸~昭和時代)

中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 下巻(江戸~昭和時代)

松本 亘正

実務教育出版

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