切手で有名な「見返り美人図」…元禄時代の美術
図表1は菱川師宣(ひしかわもろのぶ)の『見返り美人図』。元禄文化の代表的な浮世絵(うきよえ)です。浮世絵とは、人々の日常を描いた絵のことです。
浮世絵の中でも『見返り美人図』は肉筆画という直接筆で描いたものですが、浮世絵は木版画(錦絵〔にしきえ〕)が一般的なものでした。
木版画に取り組んだことはありますか? 彫刻刀で版木と呼ばれる木を彫っていき、それに色をつけたら、スタンプみたいに何枚も同じ絵をつくることができるものです。
でも、たくさんの色を使う場合はどうするのでしょう。いくつかの版木を用意して、それぞれに色を塗っていくのです。そして、重ね刷りします。現代から考えればとても手間がかかる作業ですが、これによって、大量に印刷することができるようになりました。
人口増加に伴い、農業技術が飛躍的に進歩
徳川綱吉のところでも説明しましたが、元禄時代は儒学(じゅがく)がさかんでした(前回の記事『中学入試によく出る「江戸時代の三大改革」知っていますか?』で詳説。関連記事参照)。とくに朱子学(しゅしがく)の思想は、上下の身分秩序を重視し、礼を重んじていたので、幕府にとって都合がよかったのです。キリスト教の反対ですね。
他に覚えておくとすれば、宮崎安貞(みやざきやすさだ)の『農業全書(のうぎょうぜんしょ)』があります。
この頃、農業技術は飛躍的に進歩しました。深く耕すための備中(びっちゅう)ぐわ。図表2の絵を見てわかりますか? 深く耕せそうですよね。
それから、千歯(せんば)こきは脱穀のために使いました(図表3)。今では、コンバインがやってくれます。
他にも、穀物からもみがらやゴミなどを吹き飛ばして、粒を取り出す唐(とう)み(図表4)。いろいろな道具が実用化されていきました。
また、干鰯(ほしか)や油かすなどが肥料として用いられました。
このように農業技術が進歩するにあたって、さらに新しい知識や技術を手に入れるための農書が広まりました。『農業全書』はその1つです。
江戸時代は人口が増加した時代でもあり、農作物の収穫量を増やす工夫が数多く考えられた時代でもあります。8代将軍徳川吉宗(よしむね)は「米将軍」と呼ばれるくらい、米のことに悩み、米をたくさん取れるように考えた将軍です。
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