中学入試で狙われやすい「江戸時代」、正しく理解できていますか? 今回のテーマは「化政文化」。江戸時代後期、19世紀前半を最盛期として発展した町人文化です。文学では後世にわたりリメイクされ続けてきた「八犬伝」の執筆、美術ではヨーロッパにジャポニズムを巻き起こした様々な浮世絵が生まれ、学問では国学や蘭学が大成しました。ここではややこしい「化政文化」について中学受験レベルで解説します。※本連載は中学受験専門塾ジーニアス運営会社代表・松本亘正氏の著書『合格する歴史の授業 下巻(江戸~昭和時代)』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本史上最長の古典文学「南総里見八犬伝」もこの時代

18世紀末から19世紀初期、11代将軍家斉(いえなり)の頃の文化を化政(かせい)文化と言います。元禄(げんろく)文化は、上方(かみがた〔大阪・京都〕)中心で、商人と言っても豊かな商人中心であったのに対し、化政文化は、江戸中心、そして庶民が文化の担い手でした(元禄文化については、前回の記事『現代では考えられない…江戸時代「経済が急成長を遂げた」背景』参照)。

 

<化政文化の文学>

 

●滝沢馬琴(たきざわばきん/曲亭〔きょくてい〕馬琴)

儒教的な考え方をもとに、善い行いを勧め、悪をこらしめる『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』を書いた。

 

●十返舎一九(じっぺんしゃいっく)

弥次さん、喜多さんの2人が、東海道を江戸から大阪へ向かう様子を、各地の名物を取り入れながらおもしろおかしく書いた。

 

●与謝蕪村(よさのぶそん)

俳諧(俳句)で有名。「菜の花や 月は東に 日は西に」

 

●小林一茶(こばやしいっさ)

俳諧で有名。「雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る」

ヨーロッパにジャポニズムを起こした「浮世絵」の数々

図表1は、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)の浮世絵です。彼は、美人画ばかりを描いたそうですが…、美人の基準は時代によって異なるようです。

 

みなさんはどう思いますか? ちなみに彼が描いたモデルは、たちまち江戸中で有名になったそうです。

 

(画像/PIXTA)
[図表1]喜多川歌麿の美人画 (画像/PIXTA)

 

図表2・図表3の絵は、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。葛飾北斎(かつしかほくさい)の代表的な風景画・浮世絵『富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』です。ちなみに、三十六景だから36枚の予定だったのに、あまりにも評判がよいので、10枚増やしたとか。

 

(画像/PIXTA)
[図表2]葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景』 (画像/PIXTA)

 

(画像/PIXTA)
[図表3]葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景』 (画像/PIXTA)

 

図表4は、歌川広重(うたがわひろしげ/安藤広重)の『東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)』の1枚です。図表5は、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)の浮世絵。写楽は1年足らずでたくさんの浮世絵(錦絵〔にしきえ〕)をつくった後、姿を消した謎の絵師として知られています。

 

(画像/PIXTA)
[図表4]歌川(安藤)広重の浮世絵『東海道五十三次』 (画像/PIXTA)

 

(画像/PIXTA)
[図表5]東洲斎写楽の浮世絵 (画像/PIXTA)

 

【ポイント】

『富嶽三十六景』『東海道五十三次』は元禄文化ではなく、化政文化の作品です。 2つの文化の違いを復習しておきましょう。

 

注目のセミナー情報

​​【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術

 

【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術

次ページ国学や蘭学が大成した時代…活躍した学者たち
中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 下巻(江戸~昭和時代)

中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 下巻(江戸~昭和時代)

松本 亘正

実務教育出版

難関中学合格率約60%の中学受験専門塾の合格授業を再現! 中学入試の社会・歴史(江戸~昭和時代)のポイントが、心から理解できる一冊。 【本書の特徴】 ●イラスト&図解で楽しくスイスイ読める! ●自分で考えて解…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧