日本史上最長の古典文学「南総里見八犬伝」もこの時代
18世紀末から19世紀初期、11代将軍家斉(いえなり)の頃の文化を化政(かせい)文化と言います。元禄(げんろく)文化は、上方(かみがた〔大阪・京都〕)中心で、商人と言っても豊かな商人中心であったのに対し、化政文化は、江戸中心、そして庶民が文化の担い手でした(元禄文化については、前回の記事『現代では考えられない…江戸時代「経済が急成長を遂げた」背景』参照)。
<化政文化の文学>
●滝沢馬琴(たきざわばきん/曲亭〔きょくてい〕馬琴)
儒教的な考え方をもとに、善い行いを勧め、悪をこらしめる『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』を書いた。
●十返舎一九(じっぺんしゃいっく)
弥次さん、喜多さんの2人が、東海道を江戸から大阪へ向かう様子を、各地の名物を取り入れながらおもしろおかしく書いた。
●与謝蕪村(よさのぶそん)
俳諧(俳句)で有名。「菜の花や 月は東に 日は西に」
●小林一茶(こばやしいっさ)
俳諧で有名。「雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る」
ヨーロッパにジャポニズムを起こした「浮世絵」の数々
図表1は、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)の浮世絵です。彼は、美人画ばかりを描いたそうですが…、美人の基準は時代によって異なるようです。
みなさんはどう思いますか? ちなみに彼が描いたモデルは、たちまち江戸中で有名になったそうです。
図表2・図表3の絵は、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。葛飾北斎(かつしかほくさい)の代表的な風景画・浮世絵『富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』です。ちなみに、三十六景だから36枚の予定だったのに、あまりにも評判がよいので、10枚増やしたとか。
図表4は、歌川広重(うたがわひろしげ/安藤広重)の『東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)』の1枚です。図表5は、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)の浮世絵。写楽は1年足らずでたくさんの浮世絵(錦絵〔にしきえ〕)をつくった後、姿を消した謎の絵師として知られています。
【ポイント】
『富嶽三十六景』『東海道五十三次』は元禄文化ではなく、化政文化の作品です。 2つの文化の違いを復習しておきましょう。
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