日々スキルアップを求められるビジネスマンたち。英会話レッスンやセミナー参加など、多くの人が自己研鑽に努めています。そんななか、これらの支払いで貰った領収書が税控除に使えるのか、経費として認められるのかどうか気になったことはないでしょうか? ビジネスマンとして知っておきたい、領収書のお得な知識を解説。※本連載は、出口秀樹税理士の著書『経費になる?ならない?知って得する領収書の本』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

自己啓発で受講したセミナーは必要経費となるのか?

自己啓発とは、自分の課題を見つけ、その達成のために自ら学習することです。その分野は、思考法からコミュニケーション、スピーチ、時間術、勉強法、コーチングなど多岐にわたります。サラリーマンの方でも、自分の課題に前向きに取り組みたいという人を中心に学習している人が多いです。

 

このような自己啓発のためにかかった費用はどのような取り扱いになるのでしょうか?

 

自己啓発のための費用というと、セミナー参加費がありますが、これは経費として認められるのでしょうか?

 

自己啓発のために支出した領収書の取り扱いは、基本的には、前節の英会話教室の場合と同様の取り扱いをしますが、実際のその取り扱いを決めるのは少し難しいです。

 

前項でも説明した通り、経費になるかどうかの境目は、事業を営む上で必要な支出であるかどうかでした。英会話の場合であれば、海外関係の業務があれば事業と関連しているという比較的単純な判断ができますが、自己啓発はその範囲があまりに広いため、事業との関連性を証明するのが難しいのです。

 

自己啓発でも、経理セミナーのような実務系のものであれば、業務とのつながりが明白なので経費となると思いますが、時間術という抽象的なものはその判断が難しいです。

 

しかし、その費用を法人で負担したということであれば、会社という公の存在がその支出が業務遂行に必要だと認めていると考えられます。

 

また、サラリーマンなどの給与取得者の特定支出控除の場合も、その支出が業務上必要であることを会社が証明しなければならないことから客観性は確保できていると考えられます。

 

「このセミナー費用、控除に使えるかな?」と思ったら、支出した領収書は破棄せず会社に証明してもらうようにしてください。

 

 

出口秀樹

出口秀樹税理士事務所 所長

税理士、米国税理士(EA)

 

 

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