日々スキルアップを求められるビジネスマンたち。英会話レッスンやセミナー参加など、多くの人が自己研鑽に努めています。そんななか、これらの支払いで貰った領収書が税控除に使えるのか、経費として認められるのかどうか気になったことはないでしょうか? ビジネスマンとして知っておきたい、領収書のお得な知識を解説。※本連載は、出口秀樹税理士の著書『経費になる?ならない?知って得する領収書の本』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

個人事業主の場合、「事業に不必要」なら税控除ナシ

<フリーランス(個人事業主)の場合>

 

フリーランスの場合も、会社(法人)とほぼ同じ取り扱いをします。すなわち、事業に必要なものであれば、経費として認められることになります。

 

たとえば、アメリカから商品を輸入するために英語力が必要なため、英会話教室に通っているというようなケースが考えられます。

 

会社と決定的に異なる点は、事業に必要でないのに英会話を学んでいる場合です。この場合は、個人事業の経費として認められずに個人の私的支出ということで処理されてしまいます。

 

つまり、個人の趣味という取扱いです。フリーランスは、個人事業主という顔、純粋に個人という顔の2つの顔を持っています。

 

このうちの純粋に個人という顔での立場で支払ったものについては、税金の控除は認められていないのです。

会社が認めれば経費になる、「特定支出控除」の制度

<サラリーマンなど給与所得者の場合>

 

サラリーマンなどの給与所得者については、フリーランスが持っている2つの顔のうち、純粋に個人という顔しか持っていません。

 

そのため、事業を営む上で必要な支出というものかどうかということは、原則として想定されていません。

 

しかし、サラリーマンなどの所得税については、特定支出控除というものが認められています。

 

通常、給与所得者については、給与所得控除という概算によって経費が差引かれています。日本の給与所得者のほとんどがこの概算での控除を利用していますが、実際に業務遂行のためかかった実額で申告することによる控除も認められています。

 

これが特定支出控除と呼ばれる制度です。この制度を利用する時には、会社にその支出が必要だと認めてもらい、自分で所得税の確定申告をしなければなりません。

 

英会話の授業料についても、会社が必要だと認められれば控除を受けられることになります。

 

【図表】特定支出控除の基準額

 

特定支出控除は【図表】の基準額を超えた場合の超えた金額が認められます。その立場によって税控除が認められるかどうかは異なりますが、支払った領収書は保管しておいたほうがよいです。

 

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