「2016年度の東芝」が陥ったパターンも…
【パターン④ 衰退型C/S】
事業が衰退している企業に多いキャッシュ・フローです(図表6)。本業で資金が流出しており、固定資産等の売却で得た資金等で、借入金の返済等を行っている状態です。
【パターン⑤ 勝負型キャッシュ・フロー】
資金繰りが厳しい企業に多いキャッシュ・フローです(図表7)。本業で資金が流出している中、借入金等の資金調達で得た資金を投資に充てている状態です。ベンチャー企業などでこの形がよく見られます。
【パターン⑥ 救済型キャッシュ・フロー】
かなり厳しい企業に多いキャッシュ・フローです(図表8)。本業で資金が流出しており、固定資産等の売却を行っても資金が足りず、追加で借入を行っている状態です。
2016年度の東芝のC/Sは図表9のようになっていました。
2016年度は、不正会計やのれんの減損などがニュースに取り上げられ問題となりました。
この時、東芝は営業活動から資金を得ることができず、事業を売却することで大量の資金を確保していました。6つのパターンでいうと、救済型の状態にあたります。
会計クイズに再チャレンジ
最後に、冒頭でチャレンジしていただいたクイズを覚えているでしょうか。ここまでの話を踏まえて、あらためて考えてみてください。
図表10はメルカリと楽天のC/Sです。
Q. メルカリのキャッシュ・フロー計算書はどちらでしょうか?(図表10)
<ヒント>
●図表10の左側は本業でキャッシュ・フローがプラスになっておらず、資金が足りないため借入や投資などの資金調達を行っている「勝負型」のC/Sです。
●図表10の右側は本業でキャッシュ・フローがプラスになっており、得た資金を投資に回している上、さらに資金調達で得たお金も投資に回している「積極型」のC/Sです。
●メルカリと楽天のビジネスの状況を俯瞰して考えてみましょう。
では、解答を見てみましょう。
正解は、左側がメルカリのC/Sでした! 形からしっかりと判断できていればベストです。
(※本記事に掲載の情報は特段の注や付記がある場合を除き、2019年12月書籍執筆時点での各社決算書情報を参照しています。)
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