入居者に責任がある場合は、入居者の保険で原状回復
マンション投資のメリットは、安定的な家賃収入を得られることですが、長期的な投資なので、変動する要素など、注意しておくべき点があります。
マンション投資をしていくなかで、それぞれ、考えること、得られるものは違いますが、疑問や不安を抱えることもあるでしょう。インヴァランスでは、マンションのご購入前はもちろん、ご購入後のアフターフォローもしっかり行い、オーナーの皆様のご相談にものっています。
そこで、実際に購入された方が、購入前に疑問や不安に思った点を例として、どうやって疑問や不安を解決したかを説明していきます。
<ケース紹介>
Fさんは、郊外に相続した投資用の木造アパート1棟を所有していましたが、そのアパートは、入居者のたばこの不始末によって全焼してしまったのです。
今まで不動産に無関心だったFさんでしたが、この事件がきっかけとなり、不動産オーナーとしての勉強をするために不動産投資セミナーに参加し、不動産に関わる保険のことや、木造と鉄筋コンクリート造の違いについて学びました。
マンションに魅力を感じるようになったFさんは、より安心して物件を所有していくために、アパートが立っていた土地を更地にして売却し、都内にマンション3戸を購入しました。
<説明>
鉄筋コンクリート造のマンションは優れた耐火性が特徴です。1000℃近い高温になっても強度が低下することはないとされています。そのため、建物の内部からの延焼や、外部からの類焼などの被害を最小限にすることができます。ですから、たばこの不始末でマンション1棟に燃え広がるということはまずありません。
しかし、いくら耐火性が高いとはいえ、壁や床の貼り替え、入居者の受ける損害などのために、火災保険への加入は必須です。
火災保険には主に3種類あり、オーナー、入居者、管理組合がそれぞれ加入しています。Fさんのケースは入居者に責任のある火災です。この場合は、原則として、入居者の保険で原状回復をすることになります。
部屋を借りたことがある人なら、賃貸契約のときに保険に加入した覚えがあるかと思います。中身を見てみると、入居者の保険は、基本となる家財保険(※1)と借家人賠償責任保険(※2)がセットされている場合がほとんどです。
(※1)家財保険・・・自分が所有する生活に関わる財産、例えばベッドやテーブルなどの家具、テレビや洗濯機などの電気製品、衣類、アクセサリーといったものを補償する保険。
(※2)借家人賠償責任保険・・・オーナーに対して、入居人に法律上の賠償責任が発生した場合に、その損害額を補償するもの。つまり、火災が原因で入居していた部屋の設備や内装の補修が必要になった場合は、この保険で費用をまかなう。
オーナーが加入する保険は、入居者の保険では費用がまかないきれなかった場合などに使うことになります。そして、エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分については、それらを管理する管理組合が保険をかけます。
つまり、マンションのすべてに対して、どれかの保険がかかっていて、損害が補償されるようになっているのです。
火事だけではない!? 意外に多い火災保険の補償対象
<アドバイス>
オーナーが加入する火災保険が補償するのは、実は火災だけにとどまりません。落雷、爆破、風災・ひょう災・雪災、水災、建物外部からの物体落下・飛来・衝突、盗難などによる損害も補償されます。このご説明をすると、火災保険の補償対象がここまであることに驚かれる方は多いです。
火災保険の保険料は建物の構造等によって異なり、耐火性が高いほうが安くなります。ただし、火災保険では地震や噴火、津波による火災は補償されませんので、地震保険への加入が必要となります。地震保険は単独での契約ができず、火災保険とセットでの加入となります。
日本では、ゲリラ豪雨や台風、竜巻など自然災害が多く、火災以外でこうむった損害についても補償する保険への加入が不可欠です。オーナーにとって、マンションは大切な資産ですから、その価値を守り、保つことはとても重要です。
Fさんのように、入居者の過失による火災は予測がつきません。しかし、もし起こってしまっても、火災保険で原状回復ができることが多いので、それほど神経質になることはありません。
「新耐震基準」で造られた鉄筋コンクリート造物件
<ケース紹介>
Gさんは兵庫県出身で、小学生のとき阪神・淡路大震災を経験しました。自宅の被害は軽微なものですみましたが、周りの建物には倒壊や損傷があり、大きなダメージを受けていたという記憶が残っています。そのため、不動産を所有することによる地震のリスクをとても強く感じていました。
それでも不動産投資が気になって、Gさんはセミナーに参加しました。そこで阪神・淡路大震災や東日本大震災における被害状況のデータを見て、物件選びをしっかり行えば地震のリスクを低く抑えることができると知り、地震に対しての不安なく、マンション投資を始めることができました。
<説明>
新耐震基準で造られた鉄筋コンクリート造のマンションは、地震にとても強いです。実際、旧耐震基準で建てられたものよりもはるかに、被害が軽くすむ傾向にあります。
日本では大きな地震が起こるたびに、建築基準法の改正によって耐震基準の見直しをしています。
とりわけ大きく改正されたのが1981年で、新耐震基準が導入されました。きっかけは1978年に起きた宮城県沖地震で、それ以降に建てられるものについては新耐震基準を満たすことが求められました。
新耐震基準で要求される耐震レベルは、「震度5強程度の地震ではほとんど損傷しない」「震度6から震度7に達する程度の地震でも倒壊・崩壊しない」というものです。
マグニチュード7.2、最大震度7の阪神・淡路大震災と、マグニチュード9.0、最大震度7の東日本大震災、この二つの震災における被害状況報告書によると、どちらも、新耐震基準のほうが「軽微・被害なし」とするマンションの割合が高く、「大破」「中破」の割合は低く抑えられています。
東日本大震災による被災地の状況を報道を通して観て、不動産を所有するうえでの地震のリスクを強く感じられた方も多いと思います。しかし、実際にどれほどの被害があったのかというと、実は鉄筋コンクリート造のマンションの大破は0棟0%でした。津波による木造一戸建ての被害が大半を占めていたのです。
また、直下型地震の阪神・淡路大震災で大破した9割は旧耐震基準の建物でしたので、もしすべての建物が新耐震基準で造られていれば、被害は10分の1ですんだといわれています。
そして2000年には新・新耐震基準が制定されました。さらにその後も、法改正や基準の見直しが行われているので、新しいマンションであればあるほど、地震に強いことになります。
被害が出た場合に備え、地震保険への加入も検討
<アドバイス>
地震に備えた保険に地震保険がありますが、前回お話ししたように、地震保険単独での契約はできません。
地震保険の対象は、居住用の建物と家財(家具や食器など)で、補償されるのは、地震や噴火、津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害です。具体的には、地震によって発生した火災で家が焼失した、地震によって家が倒壊あるいは埋没した、津波で家が流された、噴火によって家が倒壊したといったケースです。
地震保険の契約金額は、火災保険の契約金額の30~50%の範囲内とされていて、建物は5000万円、家財は1000万円が限度額となっています。
保険金の支払いは損害の程度によって、「全損」「半損」「一部損」に区別されます。全損の場合は契約金額の全額、半損の場合は50%、一部損の場合は5%が支払われることになります。
ちなみに、1964年の新潟地震の2年後の1966年に地震保険制度が創設されました。被災者の生活の安定に寄与することを目的として、政府と民間の損害保険会社が共同で運営する形をとっています。
日本各地で地震が起こるたびに制度の内容が見直され、改定が行われていますから、火災(地震)保険も、ときどきは見直すといいかもしれません。
しかし、たびたび法改正が行われているとはいえ、地震による被害は、火災のように保険で全額まかなえるわけではありません。最初から、地震に強い物件を選ぶことが大切です。
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