一昔前まで「年金」への不安なんてなかった
人口がまだ増加の一途をたどっていたころ家計を支えていたのは、もっぱら一家の大黒柱である世帯主だけでした。国が持ち家取得促進にアクセルを踏む中、一人の働き手の稼ぎでマイホームの夢を実現してきました。
社歴に従って給与が増え、退職金にも年金にも不安を抱くことはありませんでした。土地神話の生きていた時代です。取得したマイホームの価格は年月とともに値上がっていくものと、誰もが信じていたからこそ、住宅ローンの返済が今のように不安視されることはありませんでした。
こうした働き手が一人の、いわゆる「一馬力」の世帯は、女性の社会進出が進み共働きが増えると、相対的に減っていきます。台頭してきたのは、夫婦ともに働き手である「二馬力」の世帯です。この「二馬力」の時代の次に登場するのが、これから取り上げる「賃貸併用住宅」です。配偶者を働き手として位置付けるだけでなく、所有する住宅さえも、働き手の一つとして家計の中に位置付けて考えてしまおうというものです。