「手術が好き」ただそれだけだった…。新人外科医:山川が見た、壮絶な医療現場のリアル。※勤務医・月村易人氏の小説『孤独な子ドクター』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、連載していきます。

向き合う相手は患者さんであって医師ではない

「医者同士はライバルではなく味方です。みんなで一丸となって患者さんに向き合っていきましょう」

 

僕にとってとてもタイムリーな一言だった。しかも院長は全然気取っておらず、さらっと言った。少なくとも、僕にはそう聞こえた。

 

その言い振りから、この人は本当にそう思っているのだと感じた。この言葉を聞いて、やっと競争から解き放たれる、と思った。

 

向き合う相手は患者さんであって医師ではない。これは今でも僕の念頭に置いてある大切な思想だ。

 

実際に石山病院を見学してみると、穏やかな先生方が多く、競争を煽るような雰囲気はなかった。僕はこの病院で研修することを決めた。

 

同期に対するライバル意識はある。時に競い合うこともある。ただ扇動者がいないことで僕の初期研修は穏やかに進んだ。

 

本記事は連載『孤独な子ドクター』を再編集したものです。

 

月村 易人

 

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孤独な子ドクター

孤独な子ドクター

月村 易人

幻冬舎メディアコンサルティング

現役外科医が描く、医療奮闘記。 「手術が好き」ただそれだけだった…。山川悠は、研修期間を終えて東国病院に勤めはじめた1年目の外科医。不慣れな手術室で一人動けず立ち尽くしたり、患者さんに舐められないようコミュニ…

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