株式は購入もできれば売却することもできます。しかし、株式を売却してもすぐには現金化になりません。約定日と受渡日が異なるからです。そのため、売却資金を別の用途に使うためには、受渡日を計算し、取引をする必要があります。そんな、株式の現金化に関わる様々な注意点についてまとめてみました。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

 

・年末の取引に注意する

年末の受渡日というのは特に大切です。なぜかというと、ここでは詳しく説明は行いませんが、株式の損益計算は、約定日ベースではなく、受渡日ベースで行われるからです。そのため、年内の取引をしても、受渡日が来年にまたいでいると、それは今年の取引ではなく、来年の取引として扱われるからです。

 

たとえば今年2020年の最後の取引は12月30日(水)です。この日が今年の受渡日の最後になります。そのため、今年の取引として成立するのは、12月28日(月)になります。

 

つまり、12月29日は年内の取引ですが、受渡日は1月4日となるため、税務上は翌年の計算になり、現金化も年明けになってしまいます。お年玉を準備する場合は、12月28日までに売却する必要があります。

 

もう一つ付け加えると、12月の権利月最終日でもあるので、28日に、12月決算の売却をして配当や優待の権利を取り損ねないように注意も必要です。

 

・売却代金を使って買付けする場合

売却代金を使用して他の銘柄の買い付けをする場合は、受渡日を同じにすれば、決済することができます。つまり、Aの株式を売却して、その売却資金でBの株式を買付けることもできますし、Bの株式を売却して、Cの株式を買付けすることもできます。

 

ただし、同日の同一銘柄の売買は、差金決済取引に該当するため、その日1回までしか行うことはできません。

 

■まとめ

株式の現金化についてまとめると、現金化になるのは約定日でなく受渡日になる

 

約定日から起算すると受渡日は3営業日目になりますが、営業日ベースなので祝日や連休には注意が必要です。

 

また同日に、売却代金を利用して買付けを行うことは可能ですが、同日の同一銘柄の資金の売買は、その日1回までになります。

 

株式の現金化は、今後さらに決済日が短くなることも考えられるかもしれません。

 

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