決算書に記載された制度会計上の情報だけでは、会社の改善すべき点を見つけることしかできません。今回は、決算書とは別の「もう1つの決算書」を作成する重要性について見ていきます。

決算書会社の悪い部分を発見する診断書

前回に引き続き、儲け上手社長が実践している儲からない原因を突き止め、高収益体質に変える「数字の読み方」を見ていきます。

 

その2 決算書をもう1つ作る

自明のことですが、決算書は外部に企業の経営状態を示すための報告書です。銀行や取引先は決算書を見て経営状態を判断しますが、同様に経営者自身も、自分の会社を判断するために使うことができます。健康診断書の比喩で語られるように、決算書は、会社のどこに「悪い部分」があるかといった情報を把握するために有用です。診断書である決算書を手がかりにすれば、経営者は改善点がどこにあるかを見つけることが可能です。

 

ところが、実際に「悪い部分」が見つかり、処置を施す必要に迫られると、決算書は途端に役に立たなくなってしまいます。決算書にできることは、あくまで改善点の発見まで。そこから先は、決算書をまとめる前に使用したデータ類を見直していく必要があるのです。

もう1つの決算書作成に必要な「販売データ」とは?

たとえば経営者が決算書上の数値を読み、売上を伸ばす必要性を感じたとしましょう。ここで経営者が知りたいのは個々の商品の細かい販売状況です。

 

①現在、どういう商品を売っているのか

②それらの商品を、これまでどういう客層に売ってきたのか

③Aという商品の売上はどうなっているのか

④Bという商品の売上はどうなっているのか

・・・など

 

当然、上記にあげたような商品別の情報は、決算書には示されていません。決算書に載っているのは、売上の合計額、つまりはA、B、C・・・を売った結果を足し合わせた数字だけなので、経営者は販売データの方を見ていかなければなりません。各商品の売上、営業マン別の成績、卸先との取引状況といった具体的な情報は、すべて販売データを集計することで得られます。

 

このようにして集められたものが、管理会計上必要な情報ということになります。決算書に記載された制度会計上の情報だけでは読み解けないものについて、より具体的な情報をまとめて“もう1つの決算書”を作るのです。

本連載は、2015年11月12日刊行の書籍『「儲かる」社長がやっている30のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「儲かる」社長がやっている30のこと

「儲かる」社長がやっている30のこと

小川 正人

幻冬舎メディアコンサルティング

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