前回は、銀行から融資を引き出すための交渉術について取り上げました。今回は、会社が抱えている会計上の問題を把握するために、月次決算書を作成し、活用する方法を見ていきます。

報告目的ではなく「使う」ことが目的の月次決算書

前回に引き続き、儲け上手社長が実践している、儲からない原因を突き止め高収益体質に変える「数字の読み方」を見ていきます。

 

その10 決算を毎月する

事業年度末に行う年次決算とは別に、業績管理のために毎月行う決算を月次決算といいます。また、月次決算のために作成される帳表を月次決算書(試算表)と呼んでいます。

 

年1回決算を行うだけでは、会社が抱えている会計上の問題を十分には把握できなくなるおそれがあります。せめて月1回は、会社の現状について数字で確認する習慣をつけるためにも月次決算書を作成することをお勧めします。

 

月次決算書は、税務署や銀行への報告を目的とした決算書とは異なり、あくまでも「使う」ことが目的となります。

 

どこに手を打てば利益が出るのか――。

 

どうすればお金を残す経営ができるのか――

 

こうした経営上の課題を明確にし、意思決定に役立てる資料として活用することを意識して作成することが大きなポイントとなります。また、経営者がとらえている問題点と幹部がとらえている問題点を共有するために、月次決算書については経営者のみならず幹部も読めるようになることが望ましいでしょう。

 

経営者と幹部との間で問題点が共有化されていないと、経営課題に対して全社的に取り組むことが難しくなります。幹部が月次決算書を読めるようになると、社長と幹部が自社の現状・問題点・危機感・方向性を共有化することができ、経営課題をよりスムーズに解決できるようになるはずです。

月次決算書の作成「7つの法則」とは?

月次決算書は遅くとも翌月10日までに作成しましょう。また、実際に作成する際には、以下の7つの点について漏れがないか確認してみてください。

 

1.発生主義で作成されている

2実地棚卸の金額が計上されている

3仮払金の精算がされている

4減価償却費が月割計上されている

5賞与等が月割計上されている

6未払消費税が計上されている

7未払法人税等が計上されている

 

さらに、月次決算書がまとまったら、毎月の計画と実績の差をチェックしましょう。両者の間に生じた差の意味するものを読み取り、誤りのない方向性を見つけ出すことが大切になります。

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    本連載は、2015年11月12日刊行の書籍『「儲かる」社長がやっている30のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    「儲かる」社長がやっている30のこと

    「儲かる」社長がやっている30のこと

    小川 正人

    幻冬舎メディアコンサルティング

    改善の兆しが見えてきたといわれる日本経済ですが、その恩恵を受けているのはほとんどが大企業であり、多くの中小企業はむしろ窮地に立たされているのが現状です。 円安による原材料費などの高騰、人件費上昇や電気料金の値上…

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