郊外の高級住宅街が沈没…買い手なしの「売るに売れない」悲劇

「家」が財産となる時代は終わりを告げた。これから都心部でも確実に起こるニュータウンを中心とした戸建て住宅の財産価値の崩壊。日本人が「家」に抱いてきた「財産」という価値観が根底から崩れていくという。本連載は多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)から一部を抜粋し、住宅街が抱える問題と対策を明らかにします。

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郊外の高級住宅街の住民の高齢化が激化

高級住宅街にそっぽを向く現代人

 

かつては首都圏郊外部でも販売価格が1億円を超える住宅は数多く見られました。しかし、今これらの住宅街が冴えません。

 

都心部の地価が高騰していた平成初期までの間、住宅は都心部から郊外に延びる鉄道沿線に建設されてきました。鉄道会社にとっては、沿線に住宅開発を行うことで、都心部に通う「通勤定期券客」を取り込むことができ、また駅周辺に買い物ができる商業施設やスポーツジムなどを設けることで、鉄道を中心とした「稼ぐモデル」を構築してきたのです。

 

また駅からは、奥地の丘陵部を開拓し、ここに住宅を建設して、系列会社のバスを使って乗客を送り込むことで、沿線人口の更なる拡大と鉄道収入の向上を目指したのでした。

 

住民の高齢化が進み、郊外の住宅街が元気がないという。(※写真はイメージです/PIXTA)
住民の高齢化が進み、郊外の住宅街が元気がないという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

こうして建設された沿線部には、あらたに高級住宅街と言われる街が形成されていきました。古くは東急東横線の田園調布、小田急線の成城学園などを皮切りに、高級住宅街もどんどん郊外部に拡大していったのです。

 

神奈川県の鎌倉市西鎌倉は、JR大船駅から湘南モノレールで9分。1950年代の末から西武鉄道によって開発されてきた高級住宅地です。

 

今でも各土地の区画は100坪を超えるものが多く、有名人や財界人などが多く住んでいると言われ、瀟洒な街並みを形成しています。

 

しかし、最近では住民の高齢化が激化。また、高台に位置することから敷地内のアップダウンが厳しく、高齢者には不便な点が目につき始めました。以前は車に乗ることで、気づかなかったこうした街のウィークポイントも、高齢になって車の運転が覚束なくなると、問題になってきたのです。また、以前は賑わっていた街の商店街でもシャッターを閉める店が増えるにしたがって、活気が失われ、それにつれて不動産も流通しづらくなってきています。

 

以前、JRの大船駅前のマンションが売りに出されたとき、ファミリー向け仕様のマンションだったにもかかわらず、この地区の多くの高齢者が購入申し込みをしたと言われています。高台生活が不便で億劫になった住民たちが、駅前の利便性を選択したのです。ところが、地元不動産業者によれば、多くの人が結局、今の自宅を売却してマンションを購入することはできなかったようです。

 

土地区画が大きく、そのために全体の価格が高くなってしまい、いっぽうで現代ではこうした郊外の高級住宅地を億円単位で好んで買う顧客があまりいないことから、希望価格で売却することができずに、結局マンションの購入をあきらめざるをえなかったというのです。

 

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オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載マイホームは使い捨ての時代がやってきた

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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