前回は、「証券化」のしくみと、「証券化」の制度が整備されるまでの流れを説明しました。今回は、私募ファンドの基本的な枠組み、特に「倒産隔離」という仕組みについて見ていきます。

まず「投資ビークル」という不動産保有主体を設立

私募ファンドの基本的な枠組みについてみていきましょう。

 

私募ファンドを組成する際には、まず「投資ビークル」と称される不動産を保有する主体(器)が設立されます。投資ビークルは、具体的には合同会社やSPC法(資産流動化法)の特定目的会社などの形をとります。

 

さらに、この投資ビークルの株式または持分を保有することを目的とした一般社団法人を設立するのが一般的です。これは、投資ビークルに出資したもしくは融資した投資家や銀行等の債権者を倒産から保護するためです。

 

たとえば、投資ビークルの株式・持分を持つ親会社が株式会社であり事業を行っているような場合、その会社が事業に失敗して倒産するようなことがあれば、親会社の債権者が「投資ビークルの所有する不動産を処分して債務の弁済にあてろ」と求めてくる可能性があります。

 

そうなれば、投資ビークルのためにおカネを出した投資家や銀行の利益が損なわれることになります。

 

そこで、親会社の事業が投資ビークルに影響を与えないようにするため、事業を行わない一般社団法人を設立し投資ビークルの実質的な所有者にしておくわけです。

 

このように、私募ファンドに出資した投資家らが倒産による被害を免れることを目的とした仕組みを「倒産隔離」といいます。

 

[図表]倒産隔離の仕組み

本連載は、2016年3月28日刊行の書籍『ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

小山 努

幻冬舎メディアコンサルティング

投資で資産を増やさなければ、将来の見通しが立たない――。 一般のサラリーマンの間でも、企業や社会保障に頼らずに資産をつくるしかないと、「貯蓄から投資へ」向かう傾向が強まっています。 本書では、理想先な投資先とし…

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