兄が母を「囲い込み」。弟が裁判所に申し立てるも…
高齢になった親の財産をめぐり、昨今「囲い込み」と呼ばれるトラブルが増えています。親の面倒を見ている子が、他の親族との面会を妨害するというものです。
私がさいたま家庭裁判所の家事調停官を4年間務めていたときにも、いわゆる「囲い込み」と思われる事案がありました。
兄弟の兄の方が母親を自宅に囲い込んだというもので弟が母親に会いたい一心で裁判所に「親族間紛争調整調停事件」として申立てをしたものです。
結局、相手方(兄)が期日に一度も出頭しなかったことから、調停成立の見込みがないものとして不成立で終了となりました。
調停はあくまで当事者間の話し合いの場ですので、相手方が出頭して話し合いに応じない場合は、出頭や話し合いに応じることを強制することはできません。
この点、遺産分割調停の場合は、調停が不成立になると法律上自動的に審判手続に移行し、相手方が手続に協力しない場合には、最終的に裁判所が「審判」を出すことで解決ができます。
しかし、「囲い込み」のような親族間の紛争を調整する「親族間紛争調整調停」の場合、遺産分割調停と違って調停が不成立になると、審判手続に移行せずに終了となってしまうのです。これは調停手続の限界です。申立てをした弟さんの残念そうな顔が今でも記憶に残っています。
「囲い込み中に書かせた遺言書」でも「無効化」は困難
他にも、「囲い込み」と思われる事案は増えています。具体的には、囲い込んだ親族(一般的には子)が、囲い込まれた親族(一般的には親)の預貯金を使い込んだり、自分に有利な遺言をつくらせたりということが多いと思われます。このことで遺言の有効性が争われたり、いわゆる使途不明金問題として、「不当利得返還請求訴訟」に発展したりと、相続開始後に紛争が顕在化することが多くなっているのです。
「囲い込み」をしている最中に作成された遺言に不満があれば、一般的に「遺言無効確認訴訟」を提起することになります。
しかし、遺言が無効とされるためのハードルはかなり高いです。遺言を無効にできない場合、遺言が有効であることを前提に、遺留分が侵害されていれば、遺留分の請求をすることになります。また、生前に預貯金等を使い込まれた場合、相続開始後に相手方が被相続人から贈与されたことを認めれば、特別受益として、遺産分割協議又は調停の中で扱うことができます。
他方、相手方が生前贈与を認めなければ、別途、「不当利得返還請求訴訟」等を提起するしかありませんが、これも一般的には立証のハードルが相当高いです。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!