虫歯や歯周病だけでなく、感染症の心配も…
口呼吸がもたらす弊害のうちのひとつが、歯並びの悪化です。
口呼吸が習慣になっていると、口をポカンと開けていることが多くなります。すると口唇の筋力が低下し、上下の前歯が前に出てくる、いわゆる「出っ歯」の状態になっていきます。
逆に、上下の歯が外側に傾いているために口を閉じていることができず、口呼吸になっているという人も多くいます。そして、出っ歯ぎみで口を閉じられない人がそのまま口呼吸を続けていると、さらに歯の傾きがひどくなる、ということもよくあります。
ふたつめには、虫歯や歯周病になりやすいことが挙げられます。これは、口呼吸をすると口内が乾き、唾液による細菌活動の抑制が効かなくなるからです。
また、空気中に漂うウイルスや細菌、アレルゲンなどを口から吸い込むことで、風邪やインフルエンザなどの感染症やアレルギー性疾患にかかるリスクが高くなるほか、免疫力の低下なども起こります。
そのほか、姿勢が悪くなる、睡眠時無呼吸症候群に陥るなど、口呼吸が習慣になると身体のさまざまなところに悪影響が出る恐れがあります。口がポカンと開いた姿は締まりがない印象を与えますし、ボーッとした表情をいつもしていると、口の周りがたるんできて年齢よりも老けて見えることもあります。
さらには口呼吸によって、顔の形そのものが変わってしまうこともあります。
この口呼吸による顔の変形は「アデノイド顔貌(がんぼう)」と呼ばれているもので、鼻腔の奥にあるアデノイドという咽頭扁桃が肥大している人に起こりやすい、独特の顔つきを指したものです。
ちなみに、アデノイド顔貌の人の特徴としては、口呼吸のほか、鼻孔が小さい、鼻孔が狭い、鼻が低い、猫背姿勢、上顎に比べて下顎が後ろのほうにあるなども挙げられます。
アデノイド顔貌は、そのままで放っておくと面長で締まりのない顔つきになり、口を閉じる筋肉も衰えるため、歯並びにも悪影響が出てきます。そして次第に顔がゆがみ、さらには唇を閉じる筋力が低下すると、食べ物を噛んで飲み込む能力が衰える、握力や視力が低下するといったように全身の健康へと悪影響が及ぶこともあります。