生活保護受給者が「敷金・礼金」を満額で支払ってくれるワケ

アパート経営において、延滞トラブル等のリスクを抑えるには、入居者の属性についても気を配る必要があります。今回は、定性的な面を含めて入居者を見極めるポイントと効果的な募集方法について見ていきます。*本記事は大谷義武氏、太田大作氏の共著『改訂版 空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』から一部を抜粋し、再編集したものです。

審査用の書類を出し渋る入居希望者は要注意

入居審査については、オーナーさんやPM会社は直接入居希望者とやりとりするわけではありません。入居希望者の見極めが仲介会社を介して間接的になってしまうわけですから、最低条件として保証会社に入るというのは必要です。これは経済的なリスクヘッジのためです。保証会社に入れるかどうかというのは審査に通るかどうかということですから、とてもわかりやすい指標だと言えるでしょう。

 

問題は、経済的な問題以外の定性的な面をどう判断するかという点です。定性的な面とは、例えば暴力団関係者であったり、騒音を出すような問題を引き起こす人であったりという面です。これらは保証会社の審査ではすべてがわかるわけではありません。

 

見分け方は客付(仲介)会社から書類を多くそろえてもらうことで判断します。免許証のコピー、勤めている会社の情報等です。書類はできるだけ原本に近い形でそろえてもらいます。例えば免許証のコピーをFAXではなく、郵送してもらい、できるだけ、本物の情報を得て見極める精度を高めます。自営業者で事業内容が不明瞭であったり、免許証の提出を拒んだり、緊急連絡先に親族の連絡先を書かなかったりする、といったケースは注意が必要です。

 

最後は勘に頼らざるを得ないのですが、経験の中から危ないと判断される場合は勇気を持って入居を断ることも重要です。また、当社の事例では、仲介会社と繰り返し取引していますので、変な入居者を紹介されるリスクは低くなっています。仲介会社としてもPM会社はお得意先で、滞納等トラブルを起こす入居者を紹介するわけにはいきませんので、慎重な審査をかけるということが習慣化しているわけです。そのためにも、スケールメリットの働く管理会社を選択することは大切です。

賃貸仲介の世界はまだまだアナログな関係が重要

昨今は、インターネットで簡単に部屋を探せる便利な時代となりました。希望条件を入力すれば、その条件に見合ったいくつもの部屋が簡単に閲覧できます。

 

そのような時代ですから、賃貸の募集においては、いかにインターネットでの広告宣伝活動が重要であるかと思われるかもしれません。しかし当社では現在、自社でアットホームやヤフー不動産のようなインターネット広告を行っていません。

 

それには、「PM型」の管理会社の立ち位置が、入居希望者を直接見つけるものではなく、賃貸仲介会社に対しての依頼活動をするものであるから、という理由もありますが、それ以上に、この賃貸仲介の世界はまだまだアナログの世界であるからです。

 

部屋を探しに店舗に行った人は、当然店舗(窓口)で賃貸営業マンから話を聞くことになります。すると「ネットでAという部屋を見たのですが、実際に部屋は見られますか?」という話になりますが、そのままAの部屋だけをその営業マンが案内することはあまりないでしょう。それよりも、「もっといい部屋Bがありますよ。Aはもう決まってしまったのでCという部屋がありますよ」といったやり取りのほうが、現場では行われています。

 

なかにはインターネットで見て問い合わせをし、そのままその部屋に決めるというケースもあるでしょう。しかしオーナーさんの立場で考えれば、効率と確実性のどちらから見ても、力のある賃貸仲介会社に営業(募集の依頼)を行うほうが、圧倒的に有効なのが現状です。

 

もちろんインターネット広告は出したほうが良いわけですし、賃貸仲介会社にネットへの掲載を依頼する必要はあります。しかしインターネットに掲載しただけで空室が決まるようなことはないということをお伝えしたいのです。今後ネットの重要性は高まっていくと思われます。しかし、現時点では、やはり先に述べたように、ネットだけに頼っても思ったほどの効果は上がりません。賃貸仲介会社へ営業(募集依頼)を行い、優先的に入居希望者を紹介してもらえる関係を構築することが重要です。

生活保護受給者への対応も求められる時代に

昨今の不景気などによって、生活保護受給者の数が過去最高を更新し続けています。現在ではその数は200万人を大きく超えています。受給者の家族まで含めればその3~4倍と膨大な数になります。

 

生活保護受給者の数は増加し続けている…。 (画像はイメージです/PIXTA)
生活保護受給者の数は増加し続けている…。
(画像はイメージです/PIXTA)

 

アパート経営においても、以前は例外的な存在であった生活保護受給者が一定の規模を占めるにあたって、彼ら専用の対応が必要になっています。当社の管理物件においても、生活保護受給者の数は単身世帯を中心に全体の10%近くの規模まで増えています。数として無視できない規模になってきており、生活保護受給者を取り込まなければ入居率を上げられないところまで来ているのです。

 

一方で生活保護受給者においては一般の方とは異なるデメリットもありますので、リーシングにおいてはそのメリット・デメリットを理解した上で対応していく必要があります。

 

まず生活保護受給者の取り込み方法についてですが、有効な方法としては専門仲介会社との連携が挙げられます。当社のあるさいたま市においては、生活保護受給者を専門に仲介する不動産会社(賃貸仲介会社)が出てきていますが、その会社と連携を取ることで生活保護を受けている入居希望者を優先的に紹介してもらう仕組みを構築しています。

 

生活保護受給者を受け入れるメリットとしては、行政側がお金を出すため、敷金・礼金等の初期費用や2年に一度の更新料をしっかり取れることがあります。現在の市況は空室率が高いため、一般の入居者においては入居交渉の中で初期費用を削られたりすることも多いのですが、生活保護受給者は行政側が寛容なため満額取れます。

 

一方、デメリットとしては、滞納リスクが一般の方に比べて高い点が挙げられます。そのため保証会社への加入を積極的に行う必要があります。現在では当社の提携している複数の保証会社で生活保護受給者の保証をしてくれるようになっていますので、保証会社への加入は優先するべきです。万が一保証会社に入れない場合は、行政から家賃などを直接管理会社に支給してもらう措置を取るべきです。生活保護費がいったん受給者に入ってしまえば、個人的なことに使ってしまい結局滞納、というケースになることが多々あります。

 

ですから、初めから家賃と生活費は別にしてもらい、直接管理会社に振り込んでもらうのが得策でしょう。これによって滞納のリスクはなくなります。ただし、入居後に生活保護を打ち切られたりした場合は滞納リスクがその時点で発生しますので注意が必要です。また、自治体によっては、管理会社へ家賃を支払うことを拒否する自治体もあります。さいたま市においても区ごとにその対応はまちまちなのが実情です。

店舗、事務所の空室には看板設置と直接募集で対応

アパートにおいては、1階や2階に店舗や事務所が入っている場合も多々あります。この店舗・事務所のリーシングについても説明したいと思います。

 

基本的には居室のリーシングと同じようなステップで進めますが、当社で実際にテナントのリーシングを実施し、成果を上げてきた特徴的な方法をご紹介しましょう。

 

まずは看板設置です。店舗や事務所を探す方は必ずしも仲介会社だけで探すわけではなく、ターゲットとする場所の周辺を歩いて探す場合が多くあることをご存じでしょうか。私も起業したときは歩いて事務所を探し、設置してある看板を見て管理会社に問い合わせ、入居を決めました。そのため、対象物件には目立つような看板の設置を行うことは必須です。かつ、大きく連絡先を入れることです。実際、テナント物件においてもこの看板からの集客は相当数あるのです。

 

次に、事務所の場合においては周辺のテナントにFAXやメールで直接募集をかける方法が効果的です。なぜなら事務所物件は、周辺にある会社から移転してくる可能性が高いからです。手狭になり拡張したいケースや逆にコストカットのために縮小しなければいけないケースなど様々な理由はありますが、近隣企業へのアプローチは非常に有効です。まず、周辺企業のリストを専用のリスト会社から購入します。そしてマイソクをFAXもしくはメールで送ります。ポイントはそれを繰り返し行うことです。

 

一等地を除いて、店舗・事務所はいったん空室になると次のテナントがなかなか決まらないのが通例ですが、このような方法を使うことによって決まる確率が高くなっていきます。逆に言えば、現在の市況においては、通常のテナントの空室はここまでやらなければなかなか決まらないとも言えます。

武蔵コーポレーション株式会社 代表取締役

昭和50年 埼玉県熊谷市生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井不動産株式会社に入社。同社にて商業施設(ショッピングセンター)やオフィ スビルの開発・運営業務に携わる。平成17年12月同社を退社し、さいたま市において有限会社武蔵コーポレーション(現在は株式会社)設立。代表取締役に就任。賃貸アパート・マンション(収益用不動産)の売買・仲介に特化した事業を開始する。

著者紹介

武蔵コーポレーション株式会社 常務取締役

昭和52年 東京都葛飾区生まれ。28歳の時に区分所有の物件を購入し、不動産投資を始める。平成18年創業期の武蔵コーポレーションに入社し、現場責任者として賃貸アパート・マンション(収益用不動産)の売買・ 仲介業務に携わる。特にリフォームに関しての経験は豊富で、現在までに 2000室以上の収益用不動産の再生(リフォーム・改修工事)に携わっている。再生後の物件入居率は99%を誇る。

著者紹介

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本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『改訂版 空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

空室率40%時代を生き抜く!  「利益最大化」を実現する アパート経営の方程式

空室率40%時代を生き抜く! 「利益最大化」を実現する アパート経営の方程式

大谷 義武 太田 大作

幻冬舎メディアコンサルティング

アパート経営は今までと同じやり方では利益が出ない時代へと状況が大きく変わってきています。歴史上初めての大きな転換期を迎えていると言っても過言ではありません。だからこそ今のうちに、アパート経営を見直し、しっかりと…

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